▽2007 Season
└Point Ranking
※1 (P01→P16) エンジン交換により10グリッド降格ペナルティ。
※1 8位でチェッカーを受けたが、55周目に黄旗区間でスーティルを追い抜いたとして、決勝タイムに25秒加算するペナルティが科された。結果、9位チェッカーのスーティルと順位が入れ替わった。
戦いの舞台はヨーロッパを離れ、30年振りのF1開催となる富士スピードウェイ。誰もが初めて走るこのコースを如何に攻略するか、重圧から来るプレッシャーをはねのけ、そして予期せぬ天候の変化があった場合に如何に適切に対処するか、当たり前のことではあるが、これらが勝敗を分けるポイントとなりそう。
◇スタート
雨が降り続き路面コンディションが良くないため、全車エクストリーム・ウェット(注1)の装着が義務付けられた上で、通常のスタートではなくセーフティカー先導の下スタートが切られた。
◇いきなりのピットイン(Lap2-3)
2周目にマッサがピットイン。翌周にはライコネンもピットインする。原因は、義務付けられていたはずのタイヤをフェラーリ勢が装着せず、スタンダード・ウェット(注1)を装着していたため(後にFIAからフェラーリへの伝達がスムーズに行われなかったことが原因だと判明)、これをエクストリームに交換するためだった。
◇止まない雨
セーフティカーの先導の下、天候と路面コンディションの回復を待つが、一向にその気配はなく、それどころか雨足の強まる事もある状態が続く。そんな中12〜19周目にかけて中段以降の車が多数ピットインし、タイヤ交換と給油を行った。
◇本当のスタート(Lap20)
19周目の終わり、ついにセーフティカーがコースから離れる。この時点で上位はハミルトン、アロンソ、ハイドフェルド、バトンの順。ローリングスタートからレースが開始された。
◇開始直後の混乱(Lap21-24)
ハミルトン、アロンソは無難にスタートを切るが、ハイドフェルド、マッサ、ヴルツらが1コーナーでアクシデント。ヴルツはここでレースを終えた。またマッサは、セーフティカーがコースインしている間に追い抜きをしたとしてドライブスルーペナルティを受け、21周目の終わりにピットレーンを通過した。さらにバトン、佐藤琢磨もフロントウィングを破損し緊急ピットインを強いられる。
◇上位陣のピットイン(Lap28)
雨は依然として強く、路面状態は回復しない。そして28周目にアロンソ、翌周にハミルトンが1回目のピットイン。この結果トップに立ったのが、ここまで3番手を走行していたトロ・ロッソのベッテル。33周目までトップを快走する。
◇なおも続く混乱(Lap34-36)
比較的落ち着いているかに見えたマクラーレン勢にアクシデント。ピットイン後のアロンソのペースが上がらない。またハミルトンがクビサと接触しスピン。幸いダメージは殆ど無く両者ともコースに復帰。更にこの後アロンソも他車と接触、スピン。こちらは順位を下げる結果となる。
◇波乱(Lap41-42)
41周目にライコネンが3回目のピットイン。そして42周目。先ほどの接触の影響か、サイドポンツーンにダメージを負ってペースの上がらなかったアロンソがヘアピンでクラッシュ。コース上にパーツが散乱し、今日2度目のセーフティカーがコースイン。アロンソは今季初のリタイヤとなった。
◇痛恨のミス(Lap46)
セーフティカーが入った時点で上位の順位はハミルトン、ウェバー、ベッテル。しかしセーフティカー先導でスロー走行中の46周目、この日快走を見せていたベッテルがウェバーに追突。両者共にリタイヤとなった。
◇再開(Lap48)
48周目の終わりにセーフティカーがコースから離れてレース再開。この時点で上位はハミルトン、コバライネン、マッサ、クルサードの順。再スタートにあたって上位陣に混乱はなかった。
◇意地(Lap57)
徐々にポジションを上げてきたライコネン。57周目には100Rでクルサードをアウトから被せて抜き、4番手に浮上。翌周にはマッサが給油のためこの日4度目(ペナルティ含む)のピットイン。これによりライコネンは3番手に。更に上を目指しコバライネンを追い上げる。
◇2時間レース(ゴール/Lap67)
天候と路面コンディションは最後まで全く回復せず、非常に厳しいレースとなったが、ハミルトンが殆どの周回でレースをリードしポール・トゥー・ウィン。今季4勝目。ファステストラップも記録しハットトリック達成。
ライコネンは再三コバライネンの背後から襲いかかったが、結局抜くことが出来ず3位でチェッカー。押さえきったコバライネンは自己最高の2位を獲得。
この結果、ハミルトンは2位以下に10ポイント以上の大差をつけポイントリーダーの地位を堅持。そしてチャンピオンに王手をかけた。
またこのレースでは、正規のファイナルラップ(67周目)と2時間レース(注2)のファイナルラップが同じになるという珍しい状況にもなった。
◇日本勢
バトンが予選で7番手、決勝でもスタート直後には4番手につけるなど、期待を抱かせる場面もあったが、全体的には低調な週末となった。富士スピードウェイをホームコースとするトヨタも、天気に翻弄され精彩を欠いた。但し山本左近は、決勝での自己ベストを更新する12位に入った。
注1) エクストリーム・ウェット→深溝の雨用タイヤ。強い雨天時に使用。スタンダード・ウェット→通常の雨用タイヤ。エクストリームに比べたら浅溝。
注2) レース開始から2時間を超えた時点で、それ以降新しい周回に入らないというルール。