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田村隆一詩集『四千の日と夜』
遠い国
ぼくの苦しみは
単純なものだ
遠い国からきた動物を飼うように
べつに工夫がいるわけじゃない
ぼくの詩は
単純なものだ
遠い国からきた手紙を読むように
べつに涙がいるわけじゃない
ぼくの歓びや悲しみは
もっと単純なものだ
遠い国からきた人を殺すように
べつに言葉がいるわけじゃない
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