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田村隆一詩集『新年の手紙』

Fall

落ちる
水の音 木の葉
葉は土に 土の色に
やがては帰って行くだろう 鰯雲の
旅人はコートのえりをたてて
ぼくらの戸口を通りすぎる

「時が過ぎるのではない
人が過ぎるのだ」

ぼくらの人生では
日は夜に
ぼくらの魂もまた夕焼けにふるえながら
地平線に落ちていくべきなのに

落ちる 人と鳥と小動物たちは
眠りの世界に

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