デジタルテスターをACミリボルトメーター化してみよう〜シンプルながらも高確度&広帯域 Ver. 〜







  













 ◆トップページに戻る



 「1000円テスター用のミリバル・アダプタ」の改良バージョンです。このアダプタはコスト数百円の超廉価・超シンプル版なので10mV以下の精度が極端に悪く、周波数帯域もそんなに広くなくて、「デジタルテスターのACVレンジよりもまし」程度の実用性しかありませんでした。ミリボルトメーター(ミリバル、電子電圧計)を名乗るからには1mV以下でもかなり正確に測れて、帯域ももっと広げる必要があるので、超廉価版をベースに極力コストを抑えて練り直したのが本機です。まだ細かな改善の余地はあるものの、電圧は0.25mV〜80Vを、周波数帯域も5Hz〜300kHz超をそれぞれほぼ正確にカバー、実用の域に達したと思います。


 【1000円デジタルテスターのAC認知能力】

 我が家の1000円デジタルテスター三兄弟がこちら。最も新しい右端の末弟だけがオートレンジタイプですが、それでも秋月電子の通販で1800円でした。

 黄色いのと黒いのはACVレンジが600Vと200Vのみ。ミリボルトレベルの微少信号をはなから度外視した設計です。

 オートレンジタイプのは最小レンジが2Vなので、一応、数mVくらいでもそれらしい数値を出してきます。 一見、アンプの残留雑音測定は無理でも数百mV〜数Vを対象にする周波数特性測定になら使えそうですが、残念ながらまったくだめです。

 下グラフは右端のオートレンジタイプ(DE-200A)の実測データ。100Hzでの10mV以上の正確さはなかなか優れてます。ところが、周波数が1kHzを超えるとメロメロで、2Vまでは2kHzあたりからダラ下がりだった周波数特性が、なんと2Vを超えたとたんにピンク線のごとく逆にどんどん跳ね上がるというおぞましいことになってます。

 2Vはレンジ切り替えのポイント。各レンジの特性がまったく異なっているための現象のようで、これでは正確さはおろかざっとした傾向すらつかむことができません。






 このように廉価版デジタルテスターのACV認知能力は極めて低いのですが、逆にDCV認知能力はすごく優れていて、この三兄弟ともDCVレンジは最小200mVがあり、0.1mVの分解能を持ちます。そこで、交流電圧を正確に直流電圧に変換してDCレンジで読み取れば、1000円テスターでも侮りがたいミリボルトメーター能力を備えることになる、という算段です。


超簡単バージョンのおさらいと課題点】

 右図はたたき台になる「1000円テスター用のミリバル・アダプタ」の回路です。

 前段は理想ダイオード回路と呼ばれてます。なんで「理想」かというと、ダイオードは0.6V程度の順方向電圧を持つので交流を整流するとその分だけ整流電圧が下がってしまいますが、この回路はダイオードがオペアンプの仕上がり利得(1倍)のループ内に組み込まれているため、順方向電圧が見かけ上はほぼゼロになって入力電圧=出力電圧の理想的な整流結果が得られるためです。

 交流電圧には最大値(ピーク値)とか平均値とか実効値とかいろいろあってややこしいですが、この回路は正弦波の平均値を基に動作します。

 家庭用電源の100Vとかテスターで表示される1Vとかいうのは実効値のことで、平均値=実効値×2√2÷πですから1Vの 

平均値は0.9Vになります。つまり、AC1Vを入力するとD2(1S2076A)を出たところに、半波整流なので0.9Vの半分の0.45Vが脈流として現れます。(タイトル下の画像参照

 後段は平均値を実効値に戻してやる回路です。平均値をπ÷2√2倍(1.11072倍)したものが実効値ですが、半波整流の前段からは本来の半分の電圧しか受け取ってませんので、1.11072×2=2.22144倍に増幅すれば入力AC電圧とめでたく一致したDC電圧がテスターに送り込まれることになります。


 さて、この簡単バージョンには実用上いくつかの課題があります。10mV以下はさっぱりなので残留雑音やチャンネル間クロストークの測定は×。数V以上も無理なのでアンプ内の高電圧信号測定も×。周波数特性の測定は△〜○。利得やダンピングファクタは○・・・といったところ。×や△部分をクリアすれば実用性が格段にアップします。


【補強のツボ】

 @残留雑音が測定できるよう0.5mVあたりまで正確にカウントでき、それ以下も1000円デジタルテスターの表示限界0.1mVまでそこそこの確度を持たせる

 A周波数特性測定の信頼性をより高めるため、400kHz〜500kHzくらいでも-3dB以内の減衰におさめる

 B実効値で40V前後にもなる直熱3極出力管のドライブ電圧などが測れるよう、最大レンジを70〜80Vに広げる(100V電源ラインやトランスB電圧巻き線はテスターで十分)

 Cなるべく部品点数を減らしてシンプル(廉価)にする


 ウーン、半導体苦手人間にしてはかなり風呂敷が広がってますが、大丈夫でしょうかねえ?


 簡単Ver.には入力電圧の増幅機能がないため、数mVレベルになるとオペアンプのオフセット電圧やダイオードの抵抗成分増大などの影響をもろに受けて正確な電圧が検出されなくなっており、これを回避するため、理想ダイオード回路の前にオペアンプによる10〜300倍程度の増幅回路を追加する。

 超高域での周波数特性劣化などを防ぐため、利得帯域幅積(GB積)やスルーレートの大きい「高速・広帯域」タイプのオペアンプを使う。

 測定範囲の拡大は入力回路の頭に-40dBのアッテネータを入れて対応する・・・・ということでやってみます。



【回路図と概略】




 2回路2接点のトグルスイッチと2回路4接点のロータリースイッチを併用して、0.1mV〜80Vを4レンジでカバーしてます。まず、入力された交流をトグルSW(U1)のところのアッテネータで0dB(1倍)と−40dB(1/100倍)に振り分け(もちろん手動で! 測定電圧が4Vを超えそうなら−40dB側へ倒す)、LME49710に放り込みます。D1とD2はスイッチ操作をミスって高圧が流れ込んだ時の回路保護用です。

 ロータリースイッチのレンジは回路図の上から@80V〜4VA4V〜800mVB800mV〜20mVC20mV〜0.1mV。入力電圧はLME49710でAレンジは1倍に、@とBは10倍に、Cは300倍にそれぞれ増幅されてLME49720(U1)のところで整流され、LME49720(U2)で実効値に復元されたあと、各レンジの増幅度に対応した減衰率のアッテネータを通ってデジタルテスターに出力されます。

 入力と出力はAC、DCの違いはあっても同じ電圧なので読み替えはいらず、アナログ式テスターやミリボルトメーターでいつも悩まされる読み取り誤差もありません。オートレンジのテスターを接続すればカチャカチャ操作の煩わしさからも解放されてうんと楽チンです。ただし、残念ながら80V〜4Vレンジのみ1/100倍の減衰に対して10倍増幅なので、差し引き10倍分は読み替えで対応します。テスター表示が3.5Vなら実際は35Vということです。


 電源は24Vの廉価なアダプタを±12Vに分割しただけのシンプルなものです。バッテリー駆動も試してみましたが、ノイズレベルにほとんど違いはありませんでした。LED1は通電時のパイロットランプ、LED2はトグルスイッチの片方の回路を使って−40dBアッテネータがONした時のみ赤ランプを点灯させ、「読み替え必要」の注意喚起を促す仕組みです。



【パーツと組み立て】

 老眼の当方でも、72×95mmユニバーサル基板に無事おさまりました。

 オペアンプは「高速・広帯域」タイプの中でも比較的入手しやすいLME49710とLME49720(いずれもGB積55MHz)です。10MHzクラスだと超高域の減衰がかなり早くなるので、LME49710クラスが下限かなと思われます。

 D3とD4は小信号用のショットキバリア・ダイオード1SS293。1S2076Aより微少入力での誤差が少なくなりますが、最近の通販では見かけなくなっており、1S2076Aで代用可能です。

 VR1は100Ω、VR2は5kの多回転型半固定抵抗で、これで半端な抵抗値を調整します。


 この方式の成否は、理想ダイオード回路とそれに続く復元回路の正確さにかかっています。と書くと何やらひどく難しそうですが、要はLME49720の増幅度を決めるあちこちの抵抗値の比率の誤差をなるべく少なくしてやればいいだけです。
 R9、R11、R12の各10kはぴったり10kでなくてもかまいません。9.95kや9.97kでもいいから、できるだけ3本とも値がそろったものを選別します。9.95kそろいが出来たとしたら、R10はできるだけその2倍の19.9kに近いものを、R13+R14+R15の値は9.95k×2.2214=22.103kに近い組み合わせをそれぞれ選別します。




 ※基板画像は最終手直し前のものなので、回路図や右の配線図とは一部異なる抵抗値のものや、不要になった抵抗、ピンヘッダがついています。もし参考にされる場合は、回路図と配線図のものが最終形です。





 

 最後にトグルSWの入力周り、基盤とロータリースイッチ間などの結線をします。

 見づらいですがR1、R2、C1、C2はトグルSWや入力用BNCジャック(トグルSWの下)にくっつけます。出力はBNCとテスター棒が差し込めるテストピンジャックの併用です(R.SWの下側)。基板をスイッチ類にくっつけすぎて半田処理に難儀しましたので、もう少し後ろにずらすのが正解です。

 右画像中央の基板とR.SWを結んでいる2個並列抵抗は、製作途中で第4レンジの増幅度を変更した際、基板のR8を取り替えるのがおっくうになって割り込ませたものなので、回路図通りならこの部分は直結になります。

 オペアンプの変な「かぶりもの」は、温度変化による5mV以下の表示変動を抑えるためで、オペアンプの背中にシリコングリスを塗り、小型放熱板を瞬間接着剤でくっつけただけのものですが、結構安定度が高まります。





【校正方法を考える】

 オーディオ・アナライザ、もしくはオーディオ・ジェネレータ+ミリボルトメーターがあれば簡単ですけど、持ってない時はどうしたらいいか。その場合の校正には何もしなくとも周波数と出力電圧がかなり正確にわかっているソースが必要ですが、これがなかなか見あたりません。

 あれこれ悩んで思いついたのが秋月電子の有名なUSBオーディオキット「AKI.DAC-U2704」(\1700)と、これまた有名なefuさんの信号発生フリーソフト「WaveGene」の組み合わせ。パソコンに取り込んだWaveGeneから1kHzくらいで0dBの正弦波を発生させると、ローパスフィルタなどをつけない状態=つまり取説パンフどおりに組んだ=AKI.DAC-U2704ユニット(画像下側の黒く四角い基板)からは、ほぼ正確に0.64V前後(4台テストしてみて0.635V〜0.648Vでした)が出力されることがわかっています。


 この出力を完成した本機のレンジ3で測定して、0.64V±0.01Vくらいの範囲に収まっていればこのレンジはOKです。次にそのままレンジ2に切り替えて、レンジ3より1%弱低い数字が表示されれば、このレンジもOK。続いて、WaveGeneのアッテネータを-40dBに設定、レンジ4で測定して6.4mV±0.1mV程度なら合格です。

 各レンジともこの数値から大きく逸脱しているようなら、配線ミスや半田不良、抵抗値の読み違えなどが疑われます。増幅も減衰もしないレンジ2は正確なのにレンジ3や4が少し外れている場合はVR1やVR2で調整します。


 レンジ1の校正はかなりやっかいで、とくに高域補正のC2(82pF)の適正容量を決めるには最低限500kHz〜1MHzまでほぼフラットに出力できるジェネレータと根気が不可欠。入力周りの配線やCRはちょっと動かしただけで浮遊容量が変化、超高域の特性がガラリと変わりますので、ふらふら動きにくい少し太めの被覆単線で配線しておいてから68pF〜100pFを取り付け、ジェネレータの周波数を変えながら配線やCRの位置をドライバーでつついて動かしてみて数十kHz以上の帯域にピークが出来ず、なおかつ超高域の伸びの良いポイントを探りあてるのが効率的です。ジェネレータがない場合は100pFをつけておくのが無難かと思います。


 AKI.DAC-U2704がない場合、やや大雑把ですけど、テスターに10V程度のACレンジがあれば以下の方法が使えなくもありません。

 まずWaveGeneから200Hz前後の正弦波を発生させ、テスターのACレンジでパソコンの外部出力端子(ヘッドフォンなど)の電圧を調べます。その際、パソコンについている音量調節のVRは何かの拍子にずれないようMAXにしておきます。次にヘッドフォン出力を本機に入力し、テスターのDCレンジに表示される電圧と先に測ったAC電圧を比較して、ほぼそろっていればOKとします。

 この方式で問題になるのは、食い違いがかなりあった場合、どちらがより本当の値に近いのかわからない点。テスト結果ではパソコン出力250Hz1.290Vの時、オートレンジテスターではAC1.277V、本機を介した同じオートレンジテスターはDC1.287Vと、どちらも正確でした。しかし、12.9mVに下げてみると、オートレンジテスターではAC10mV、本機を介した同じオートレンジテスターはDC12.9mVと、ACレンジには20%以上の誤差が出ています。もし、12.9mVという出力電圧がわからなかった場合、どちらが正しいのか???なので、校正できないということになります。

 


【基本特性】

 測定器ですから入出力電圧の間に誤差があっては致命的です。超シンプル版は20mV以上は正確ですが、10mVになると約20%、1mVだと実に270%もの誤差が出ていて、ひいき目にみても数mV以下はまったく実用になりませんでした。(グラフ右

 今回の高確度版(グラフ左)は0.25mVまで誤差はほとんどありません。さすがに0.1mVともなると誤差は+50%まで跳ね上がり、0.3〜0.5mV以下では表示が何かの拍子にコロコロ動いて安定度にやや欠けるものの、真空管アンプの残留雑音測定ならなんとか使えるかなという感じです。6V以上の領域は、対応できるジェネレータを持ってないので正確な数値は測れてませんが、実効値で40V近く出しているアンプのドライバ段でテストした限りではとくに問題なさそうです。


 画像右から時計回りに入力0.25mV、100mV、1V(いずれも1kHz)。ソースに使った左上のジェネレータには出力表示がないので右のミリボルトメーターでAC出力を表示させ、本機のDC出力を中央の1000円デジタルテスターとデジタルマルチメーター(DMM、左下)に出してます。

 0.25mVはともかくとして、「1000円坊や」にここまで確度の高い数値を出されたら、何十倍ものお値段のDMMとしては立つ瀬がないですねえ!

 





 




 入出力電圧の誤差がいくら少なくても、デジタルテスターACレンジのように「但し、40Hz〜500Hzしか保証しませんよ」では、オーディオ機器の測定には役にたちません。誤差の少ない周波数帯域がどこまで広がっているか、がミリボルトメーターとしてのもうひとつの重要な要素です。

 1V出力の場合、減衰なし(0dB)は6Hz〜89kHz、-1dB以内は5Hz〜340kHz、-3dB以内は5Hz〜776kHz。100mVだと400kHzあたりからこれを僅かに下回ってきますが、アンプの周波数特性測定に十分使えるレベルです。

 これに対して10mVは早くから減衰が始まり、データ的にはいささかもの足りません。原因は20mV以下の範囲をオペアンプ単段で300倍に増幅しているためです。2段増幅にして各段あたりの増幅度を20倍弱に抑えれば100mVラインとほとんど変わらなくなるはずですが、それには基盤をいちから作り直す必要があるため、はっきりいって「めんどくさい!」

 AKI.DAC-U2704キットのように数百kHz以上の高周波ノイズが多量に含まれている機器の微少出力を測定した場合は実際より低く表示されることになりますが、普通のアンプでは高域発振でもしていない限り残留雑音の主成分は低域のハムなので実質的な影響はないのと、周波数特性も普通はこうした低レベルで測ることはまずないため、手当てせずにおきました。




【さてコストは?】

 相変わらず「主婦の昼メシ」的製作(家にあるものでテキトーに済ます)なので、いちから買いそろえたなら一体どのくらいかかったのかチェックしてみました。もっともこの言葉、今や死語のよう。ダンナは牛丼とかワンコイン弁当で汗水たらしてるのに、奥方たちは群れて優雅に老舗料亭の味、ミシュラン星など満喫してるみたいですから・・・


品目 型番など 単価 備考(通販先)
オペアンプ LME49710 ×1 170円 マルツ
LME49720 ×1 270〜450円 秋月、千石、マルツ
ダイオード 1SS293 ×2 ? ?
1S2076A ×2 5〜40円 秋月、千石、マルツ
抵抗 1/4W 1%級 ×22 20〜21円 千石、マルツ
25回転半固定VR ×2 58〜163円 マルツ、秋月、千石
1/2W  ×1 21〜30円 千石、マルツ
1W  ×3 20〜21円 マルツ、千石
コンデンサ 0.47u/400V ×1 50〜242円 秋月、千石
4.7u/25V ×1 10〜20円 秋月、千石、マルツ
470u/16V ×2 32〜50円 千石、マルツ
5pF/50V ×1 10〜40円 秋月、千石、マルツ
68〜100pF/50V ×1 15〜30円 秋月、千石、マルツ
0.1uF/50V ×4 10円〜20円 秋月、千石、マルツ
ロータリースイッチ ショーティング2回路4接点以上 ×1 340〜383円 マルツ、千石
トグルスイッチ 2回路2接点 ×1 90〜240円 秋月、千石、マルツ
ケース タカチMB-11 ×1 570〜615円 マルツ、千石
電源 DC24Vアダプタ ×1 650〜839円 秋月、千石、マルツ
LED PG3889S(黄緑) ×1 50円 〈ぺるけストア〉
LED 赤色、2V10mA ×1 245円 マルツ
BNCジャック 絶縁タイプ ×2 80〜184円 秋月、千石
テストピンジャック 赤、黒 30〜70円 秋月、千石、マルツ
DCジャック 2.1mm径内付け ×1 140円 〈ぺるけストア〉
ユニバーサル基盤 72×95mm ×1 120〜200円 秋月、千石、マルツ
貼り付けボス タカチT-600 ×2 56〜60円 マルツ、千石
スペーサー 10mm ×2 10〜45円 秋月、千石、マルツ


 使ったパーツはざっとこんなところ。取扱品目が多い上記3通販店での価格(2014年8月8日時点)をチェックしてみると、残念ながら一カ所では全てを揃えられないようですが、最安値で買ったとして計3900円弱となりました。 もっとも、単価は安くても店によっては10本パックでないとダメとか、消費税のほか複数の送料もかかるので、現実には5000円を超えそうです。 

 秋月はモノさえあればどれもびっくり安だが、抵抗類をそろえようと思ってはいけない。千石は品数豊富で値段もがんばってるが、写真のないのが結構あって品定めが難しいものも。マルツは全般的に高めだが、代引き手数料が無料だったり5000円を超えると送料もタダになったりメール便があったりと発送サービスが充実、結果的によそより安くなることもある。〈ぺるけストア〉はこの世に希有な良心でのみ成り立っている「パーツ駆け込み寺」。



【おわりに】

 現時点で気がついた製作、利用上のいくつかの留意点に触れておきます。

 オペアンプの個体差が微少出力帯の性能に与える影響はかなりのものです。数mV以上だとまず問題なさそうですが、1mV以下では同じ型番でもかなり差があるノイズレベルや安定性が無視できなくなって、入力1mVとした時、ある個体は1mVで最大ふらつき幅±80μVと安定した数値を出してくるのに、別の個体では±250μVだったりしますので、可能なら複数の中から選別したほうがいいです。

 本来のレベルに安定するまで結構時間がかかります。数mV以上なら電源ONして即ほとんど誤差なしに使えますが、それ以下だとやや高い数値が出て落ち着くまで10分とか、室温によってはそれ以上かかってます。残留雑音を測るときは、お茶でもしながら気長にアイドリングさせときましょう。

 ケースの正面寸法が幅80mm、高さ55mmのためスイッチや端子間の余裕が乏しく、少々使いづらいのでもうすこし大きめのケースにしたほうがベターです。ケースは表裏とも絶縁処理されてますので、基板のGNDラインを落とすポイントは紙やすりでよく磨いておいて下さい。また、ケースの蓋はネジ止めだけでは導通しないので、ネジ止め部分のどこか一カ所を磨く必要があります。 (2014.08.09)

 ◆トップページに戻る