中古マルチメータはどこまで正確か?             〜 DMM6機種のチェックデータ 〜


 











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 デジタル・マルチメータ(以下DMMと略)は電子工作の必須アイテムですが、確度が保証されている新品(1/2 6桁機で十数万円)でとなると懐事情がおいそれとは許してはくれません。当方など、迷うことなくネットオークションに走って、見るからに年期の入った「通電のみ」品(すなわちジャンク!)を落札してしまう訳ですが、校正履歴が定かではないこれらのDMMって一体どこまで正確なのか・・・ 

 そうしたなかの1台をメーカー校正に出したのを機に、これらの「ジャン測」たちの実力をチェックしてみました。対象DMMはAgilent34401A、HP3466A、HP3457A、HP34401A、ADVANTEST TR6845、ADVANTEST R6551、ADCMT7461Aの7台。

 仕様確度を維持するためにどのメーカーとも12ヵ月ごとの校正を求めている訳ですが、7台の中にはなんと30年位は無校正の「つわもの」も含まれてます。さてどうなることやらの結果は後述の通りで、許容範囲がシビアな1/2 6桁機でも校正後6〜10年位は仕様確度が保たれてました。但し、これらはあくまで個体データであって、決して全体を判断できるものではありませんのでご注意下さい。


【個別カルテ】

 7台の中で最も新しいのは2010年製のADCMT7461Aですが、それでも6年が経ってます。最古参は1983年かそれ以前のHP3466A。うち校正履歴がわかるのは4台で、それらは10〜30年間前後は無校正のまま使われて来てます。HP3457AとHP(Agilent)34401Aは、本体のメモリに校正回数が自動累積されるシステムになっていて、これにアクセスすればちゃんと校正され続けてきたかどうかがわかります。

              HP 3466A     (1/2 4桁)
<生産期間> 1977年 〜 ?
<本機製造年> 1977 〜 1983年の内のどこか(シリアルNoから)
<最終校正年> 不明
<入手後トラブル> なし
<独断寸評> マニュアル時の操作性が非常に良い。


           ADVANTEST TR6845  (1/2 4桁)
<生産期間> 1986年 〜 ?
<本機製造年> 1991年以降(基板の製造年から)
<最終校正年> 不明
<入手後トラブル> 入手時に電流測定不能(原因は保護ヒューズ切れ)
<独断寸評> 小型で場所をとらない。校正はやりにくい


           ADVANTEST R6551  (1/2 5桁)
<生産期間> 1988年 〜 ?
<本機製造年> 1995年(基板上の合格スタンプ年から)
<最終校正年> 2002年(シール年から)
<入手後トラブル> なし
<独断寸評> 取扱説明書がかなり不親切


           ADCMT 7461A    (1/2 6桁)
<生産期間> 2007年 〜 現行機種
<本機製造年> 2010年(元持ち主によれば)
<最終校正年> 不明
<入手後トラブル> なし
<独断寸評> ADVANTESTから独立。良くも悪しくもADVANTEST


              HP 3457A     (1/2 6桁)
<生産期間> 1985年 〜 ?
<本機製造年> 不明
<最終校正年> 工場出荷時以降は校正履歴なし
<入手後トラブル> ACVレンジの一部が故障していて、自力修理
<独断寸評> AC30mVレンジは貴重で、7桁表示範囲も広い


              HP 34401A     (1/2 6桁)
<生産期間> 1991 〜 1999年
<本機製造年> 1997年
<最終校正年> 1997年(※工場出荷時)
<入手後トラブル> なし
<独断寸評> さすがは定番機、そつなくまとまっている

【計測機材とその確度】

 測定にあたっては、実際の確度がはっきりしている計測機材が必要ですので、以下の手順で確度を割り出しました。

 メーカー校正から帰って来たばかりのDMM、Agilent34401A(下の左上)を基準機に用いて標準DC電圧・電流発生器ADVANTEST TR6120A、ファンクション・シンセサイザHP8904A、ファンクション・ジェネレータ横河FG110、自作抵抗値発生器など(下の左下)を自家校正します。

 添付された34401A校正試験データ(下の右)では、DC電圧の場合、校正出力との誤差が0.0001%程度まで追い込んで校正されてますので、Agilent34401Aの表示が試験成績書の「MEASURED」数値と同じになるよう上記の発生器側を調整すれば、メーカー校正で使用された高価なFLUKEの標準校正器5720Aとほぼ同等の基準電圧が得られることになります。

 AC電圧も同じ要領でジェネレータ側を校正します。出力電圧の仕様確度±2〜3%程度が普通のファンクション・ジェネレータの中にあってHP8904A(上の2段目左)は±1%と優秀ですが、それでも校正源としては粗すぎ。しかし、カバーを開けて微調整すれば±0.01%は確保できました。ファンクション・ジェネレータの常として最大出力が20Vp-p(7.071Vrms)しかないので、自作の7倍電圧ブースターを経由させて30Vレンジまでは校正できるようになってます。

 FG110(上の2段目右)は仕様確度±0.7%と例外的に高確度ですが、マニュアルでは校正について一言も触れられてませんし、基板を眺めても方法は推測できません。この手の精密機器に校正機能が無いというのはちょっと考えにくいので、メーカーのみ知っている秘密の手順があると考えるのが自然ですが、もしそうなら「国民が知らなくてもいい情報もある」とのたもうたどっかの国会議員みたいな企業体質ですな(違っていたらごめんなさい)。

 ±0.01%級抵抗による自作抵抗値発生器(上の3段目右)は、1kΩレンジで1.000015kΩとかどうしても端数が出るので、Agilent34401Aでの読み取り値を基準値としました。

 AC電流については、基準値発生器を持ってないのでパス。


【DC電圧】

 一覧表の読み方を説明しておきます。発生器側の枠内上段は出力電圧、下段青字は出力電圧確度、DMM側の枠内上段は表示電圧値、中段は発生器電圧に対する誤差、下段青字は各DMMの校正後1年間の許容確度で、誤差がこの範囲内であればOKということになります。許容確度を外れるかギリギリだった場合は表示電圧値をに変えています。

発生器TR6120A HP34401A ADCMT7461A HP3457A R6551 TR6845 HP3466A
1000V

(±0.00064%)
1000.007V
(+0.0007%)
(±0.0055%)
1000.022V
(+0.0022%)
(±0.0045%)
※MAX300Vレンジ 999.98V
(−0.002%)
(±0.017%)
1000.0V
(±0%)
(±0.09%)
1000.1V
(+0.01%)
(±0.065%)
100V

(±0.00044%)
100.0005V
(+0.0005%)
(±0.0051%)
100.0014V
(+0.0014%)
(±0.0050%)
99.9989V
(−0.0011%)
(±0.0062%)
100.002V
(+0.002%)
(±0.023%)
100.01V
(+0.01%)
(±0.09%)
100.00V
(±0%)
(±0.04%)
10V

(±0.00033%)
9.99997V
(−0.0003%)
(±0.0040%)
10.00022V
(+0.0022%)
(±0.0038%)
9.996046V
(−0.0394%)
(±0.0060%)
9.9992V
(−0.008%)
(±0.033%)
10.001V
(+0.01%)
(±0.09%)
9.998V
(−0.02%)
(±0.04%)
1V

(±0.00047%)
0.999992V
(−0.0008%)
(±0.0047%)
1.000008V
(+0.0008%)
(±0.0045%)
0.999963V
(−0.0037%)
(±0.0032%)
0.99999V
(−0.001%)
(±0.021%)
1.0000V
(±0%)
(±0.09%)
0.9999V
(−0.01%)
(±0.04%)
100mV

(±0.00115%)
100.0024mV
(+0.0024%)
(±0.0085%)
100.0000mV
(±0%)
(±0.0075%)
99.9910mV
(−0.0090%)
(±0.0075%)
99.987mV
(−0.013%)
(±0.035%)
99.98mV
(−0.02%)
(±0.09%)
99.99mV
(−0.01%)
(±0.06%)
1mV
※確度不明に
 つき参考値
0.9997mV
(−0.03%)
1.0009mV
(+0.09%)
1.0001mV
(+0.01%)
1.004mV
(+0.4%)
1.005mV
(+0.5%)
1.006mV
(+0.6%)
               ※室温 25±1℃

 結構バラつくかと思っていたのですが、機齢30年前後でその間無校正というHP3457A以外は全て許容値内に収まってました。なかでも健闘しているのがHP34401Aで、20年近く無校正にもかかわらず、機齢6年と「ジャン測界」では新品同様≠フADCMT7461Aよりも正確な数値を出してきました。

 DMMでは直流電流、交流電圧・電流、抵抗値のいずれもが直流電圧に変換されて測定されるので、ここがしっかりしていないと他のレンジにまで悪影響を及ぼします。仕様値外れが目立つHP3457Aは絶対に校正が必要ですし、他の5台もできれば校正して最良値近くに追い込んだ方が安心ですね。


【DC電流】

 一覧表の読み方はDC電圧と同じです。

発生器TR6120A HP34401A ADCMT7461A HP3457A R6551 TR6845 HP3466A
100mA

(±0.0053%)
100.0068mA
(+0.0068%)
(±0.0550%)
100.0028mA
(+0.0028%)
(±0.0280%)
99.9917mA
(−0.0083%)
(±0.1000%)
100.006mA
(+0.006%)
(±0.170%)
100.01mA
(+0.01%)
(±0.30%)
99.93mA
(−0.07%)
(±0.17%)
1mA
※確度不明に
 つき参考値
1.00007mA
(+0.007%)
(±0.250%)
1.00002mA
(+0.002%)
(±0.220%)
1.000239mA
(+0.0239%)
(±0.0504%)
0.999mA
(−0.10%)
(±4.13%)
1.0001mA
(+0.01%)
(±0.30%)
1.0002mA
(+0.02%)
(±0.09%)
              ※室温 25±1℃


 こちらは6台とも全て許容値内に収まってました。1mAでR6551は他の5台よりひと桁確度が落ちていますが、これは最小レンジがフルスケール300mAと他機(200uA〜10mA)より遙かに大きいせいです。HP3457Aは本来、微少電圧・電流にもっと強いはずなので、許容値内とはいえ要校正でしょう。


【AC電圧】

 一覧表の読み方はDC電圧と同じで、測定周波数は1kHzです。

発生器HP8904A他 HP34401A ADCMT7461A HP3457A R6551 TR6845 HP3466A
49.0010V

(±0.0062%)
48.9590V
(−0.086%)
(±0.121%)
49.0104V
(+0.019%)
(±0.142%)
48.9046V
(−0.197%)
(±0.302%)
48.893V
(−0.221%)
(±0.827%)
48.69V
(−0.64%)
(±1.21%)
48.93V
(−0.15%)
(±0.71%)
9.99966V

(±0.0047%)
9.99073V
(−0.089%)
(±0.090%)
10.00275V
(+0.031%)
(±0.090%)
9.99610V
(−0.035%)
(±0.242%)
9.9862V
(−0.135%)
(±0.440%)
9.974V
(−0.26%)
(±0.90%)
9.977V
(−0.23%)
(±0.50%)
0.999986V

(±0.0050%)
0.999052V
(−0.093%)
(±0.090%)
1.000283V
(+0.029%)
(±0.110%)
0.998768V
(−0.122%)
(±0.242%)
0.99851V
(−0.148%)
(±0.440%)
0.9951V
(−0.49%)
(±0.60%)
0.9981V
(−0.19%)
(±0.50%)
99.9998mV

(±0.0147%)
99.9002mV
(−0.100%)
(±0.100%)
100.0121mV
(+0.012%)
(±0.120%)
99.7647mV
(−0.234%)
(±0.242%)
97.721mV
(−2.279%)
(±0.440%)
99.69mV
(−0.31%)
(±0.60%)
99.81mV
(−0.19%)
(±0.50%)
※室温 26±1℃


 HP34401Aは許容下限値ギリギリか少しオーバー。AC電圧判定のベースになるDC電圧確度は全く問題ないので、ACブロックのみの校正で改善されるはずです。R6551の100mVは許容値の5倍を超えるという1/2 5桁機としてあるまじき見事な外しっぷり。HP3457Aの100mVは、DC電圧確度が下限値をオーバーしていることに引きずられているようです。


【抵抗】

 一覧表の読み方はDC電圧と同じです。

自作発生器 HP34401A ADCMT7461A HP3457A R6551 TR6845 HP3466A
100.0013kΩ

(±0.0012%)
100.0048kΩ
(+0.0035%)
(±0.0110%)
100.0033kΩ
(+0.0020%)
(±0.0088%)
100.0061kΩ
(+0.0056%)
(±0.0057%)
100.009kΩ
(+0.0077%)
(±0.0170%)
100.20kΩ
(+0.20%)
(±0.10%)
100.00kΩ
(−0.001%)
(±0.040%)
10.00058kΩ

(±0.0008%)
10.00078kΩ
(+0.0020%)
(±0.0110%)
10.00067kΩ
(+0.0009%)
(±0.0088%)
10.00093kΩ
(+0.0035%)
(±0.0056%)
10.0010kΩ
(+0.0042%)
(±0.0160%)
10.001kΩ
(+0.004%)
(±0.100%)
10.000kΩ
(−0.001%)
(±0.040%)
1.000015kΩ

(±0.00095%)
1.000067kΩ
(+0.0052%)
(±0.0110%)
1.000042kΩ
(+0.0027%)
(±0.0088%)
1.000082kΩ
(+0.0067%)
(±0.0056%)
0.99993kΩ
(−0.0085%)
(±0.0150%)
1.0000kΩ
(−0.0015%)
(±0.1000%)
1.0001kΩ
(+0.0085%)
(±0.0400%)
100.0067Ω

(±0.00115%)
100.0024Ω
(−0.0043%)
(±0.0140%)
100.0045Ω
(−0.0022%)
(±0.0115%)
100.0073Ω
(+0.0006%)
(±0.0089%)
99.998Ω
(−0.0087%)
(±0.0260%)
100.02Ω
(+0.013%)
(±0.100%)
100.00Ω
(−0.007%)
(±0.100%)
※室温 23±1℃


 一番ずれていなかったのがADCMT7461A、次いでHP34401A、最高齢のHP3466Aも健闘してます。


【Agilent34401Aについて】

 校正に出して今回のデータ収集の基準機にしたAgilent34401Aについて触れておきますと、ロゴマークなどデザインの一部変更はあるものの、中身はHP34401Aと同じです。

 メモリを調べると2006年1月に校正されていて、その校正カウントなどから、これは工場出荷直前の校正だとわかります。つまり、現時点で機齢11年弱、その間無校正のほったからし状態が続いていた訳です。


 メーカー標準校正では現物を受け取るとまず、全てのレンジで計87項目のチェックを行って合否を判定、仕様値を外れていれば勿論、合格であっても一定の範囲を超えているデータがあると最良値に校正する仕組みになってます。

 送られてきた試験成績書を見ると、事前チェックの87項目全てに合格していたことから、あえて校正に出す必要はなかったようです。




 校正前と後ではどれだけ違うのか、ナマ数値の羅列だと分かりづらいので、DC電圧レンジ部分を視覚化してみました(右図)。確度仕様値の下限を−100%、上限を100%に設定、実測値がこの範囲内なら合格です。誤差ゼロなら当然0%。

 仕様値外れがなかったとはいえ、校正前は結構大きかったレンジ毎のバラつきが、校正後は0%ラインに沿った右肩下がりのきれいな直線に生まれ変わって、やっぱり気持ちいいですね(費用は大いに痛かったけど・・・)。

 ※ 1V、10Vなど各ポイントを繋ぐ折れ線はグラフが見やすいようにつないだだけで、中間部分の確度を示すものではありませんからご注意下さい。

【簡単なおさらい】

許容値外れかギリギリ数 評価(MAX★5) 独断的コメント
HP34401A 3/16項目 ★★ AC値が下限ギリギリで精密測定にはちょっと・・・。それ以外は良好
ADCMT7461A 0/16項目 ★★★★★ 表示値が高めに出るが最良値との差は微少。現状で問題なく使用できる
HP3457A 6/15項目 全体的にガタガタでフル校正が必要。現状使用不可
R6551 1/16項目 ★★ AC300mV以下を測る必要がなければ、現状で十分使用できる
TR6845 1/16項目 ★★★ 現状で日常使用に十分耐えられる
HP3466A 0/16項目 ★★★★ 現状で日常使用に問題なく耐えられる
Agilent34401A 0/87項目 ★★★★★ 校正前でも表示値の誤差はADCMTより相当小さい。文句なしに優秀

 ※ 上記の評価・コメントはあくまで特定個体へのもので、機種をうんぬんするものではありません。

 7台のデータを見る限りでの話ですが、ADCMT7461AとAgilent34401Aの健康状態が良好なことから、6〜10年位は校正なしでも大丈夫そうな雰囲気です。しかし、それを越えると微妙で、最終校正後14年目のR6551はごく一部のレンジながら極端な誤差を生じており、19年目のHP34401Aも一部レンジで許容値を超え始めてます。30年前後たつHP3457Aついては、もはや1/2 6桁機ならではの正確な測定結果は期待できません。校正履歴不明ながらHP3466AやTR6845は古くても健闘してますが、これら1/2 4桁機は元々確度が大幅に低いので、かなり甘くなって来ても許容値外に達しにくいということだろうと思います。


【おわりに】

 最後に、多少なりとも安心できる(かも知れない)ネットオークション中古DMM選びのポイントについて少し触れておきます(但し、結果として粗大ごみだったとしても、当方は一切関知しません! あくまで自己責任ですぞ!!)。

 なるだけ年式の新しいものを探す・・・に越したことはありませんが、クルマと違ってマイナーチェンジがほとんどないので外観からの判別は困難ですし、一部メーカーで可能な基板製造年からの割り出しも、落札して手元に届かないとできません。ただ、ブランドロゴの変遷からある程度は幅を推定できるメーカーもあります。
<例> HP →(1999年)←Agilent→(2014年)→KEYSIGHT(現行機種)
     TakedaRiken→(1986年)←ADVANTEST→(2007年)→ADCMT(現行機種)

 校正シールのあるものを探す・・・に越したことはありませんが、オークションの写真にシールのアップ部分がない限り、有効期限まではまず判別できません。しかし、数年前に期限が切れていたとしても、シールのないものより正確さが期待できます。また、見た目は悪いですがシールの剥がし跡が残っているものも、校正を受けていた可能性があります。

 法人ユーザーからの放出品を探す・・・に越したことはありませんが、スタート値が張るものも多いです。巷で法人ユーザー品の人気が高いのは、「定期校正費用などを経費で落とせるから、ちゃんと維持管理されていた」との期待感があるからでしょう。しかし、現実にはあながちそうとも言えないケースも結構あるようで、法人ユーザー品だったと思われる3台中2台はメーカー工場を出たあと長期にわたって全く無校正でした。長引く不況とデフレ(緩やかな回復基調とも言うらしい)で「不要不急の校正費用なんか出せるか」って企業が多いんでしょうかね・・・

 セルフテストOK(PASS)品を探す・・・に越したことはありませんが、残念ながら、OKだったからといって表示値の正確さとは関係がありません。なぜならこれは、ハードウェアの基本部分が正常に動作していることを示しているだけであって、計測数値が正しいかどうかを判定する仕組みではないからです。
 メーカーや機種によって違いはありますが、このテストは機能の90%位を自動チェックしています。しかし、チェック対象外だとかなり深手のこんな故障があってもフリーパスなので、テストOKでも安心は禁物です。

 ハンドルが欠品のものを探す・・・常識外れのアプローチですが、ハンドル無しだとラックマウントで使われていた可能性が高く、こうした使用法は法人ユーザーに多く見られるので、三つ目のポイントに該当します。それに加え、パーツが揃っていないということで、落札価格が低くなるメリットもあります。ただ、工場設備などの監視用として長期にわたり24時間フル稼働させられていた可能性もあり、画面が薄暗かったり各数字の明るさにムラが出ていたりは要注意。

 具体的な説明文があるものを探す・・・と、出品者の基礎知識やDMMの状態がある程度推測できます(虚偽記載がなければ・・・)。同じように「動作品」とうたってあっても、その理由が家庭のコンセントからAC100Vを測っただけのものと、それなりの計測機材であちこち測ってあるものとでは、後者を選んだ方がより安心できます。

 DMMは出品数が多く、次々と途切れることなく出て来ますので、焦らずに気にいったものを探しましょう。(2016.10.24)


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