@空き缶のリサイクルって知っています?

タイトル

スチール缶のふたは貴重なアルミです。

スチール缶のふたもアルミなんですが、これが今はリサイクルされていません。

従来の方法では最初にスチール缶とアルミ缶に分けてしまうため、再びアルミとして再生されることはありません。
このアルミの量は、缶に使用されている全アルミ量の1/3にものぼります。

スチール缶の生産量の方が圧倒的に多いですから非常にたくさんの貴重なアルミがなくなっているのです。
このスチール缶からプルタブを取れば、貴重なアルミ資源が有効利用できます。


ふたのアルミは#5000系のアルミです。

胴の部分のアルミは#3000系のアルミで、どちらも良い材質なんですよ。


では溶解した場合、ふたと胴の成分はどう違うのか見てみましょう。ボタンをクリックしてみて下さい。
←ここをクリックして下さい。成分:分析結果が見られます。

行った先でクリックするとまたここへ帰ってきます。



ブロック

空き缶リサイクルの現状 
 一般から出るアルミ缶、スチール缶、ビン等はリサイクル資源として回収され、それぞれに分けられます。

スチール缶はアルミ缶に比べ引き取り単価が安いです。

集められたアルミ缶やスチール缶はプレスされ、運びやすいような形状にしたのち、処理工場へ持っていきます。

この後、不純物の混入をできるだけ抑えるため、もう一度バラバラにほぐされ再度分別した後、炉に放り込みます。
アルミ缶はバラバラにほぐす工程があるので、最初のプレス工程では余り圧力をかけないで柔らかく固める方法(ソフトプレス)が採られています。


このバラバラにほぐす際に、プルタブが取れてしまうことがあります。

取れたプルタブは搬送ラインに詰まったり、選別ラインではゴミとして廃棄されてしまいます。
プルタブは迷惑だ。と工場の作業員さんのコメントもありました。
(NHKの所さんの番組でも取り上げられていました。)

では最初からプルタブを外して別々に処理すれば、ゴミでは無くて有効な資源としてリサイクルされます。
工場でもプルタブは迷惑にならずに済みますからね。

スチール缶のプルタブは燃えて無くなりますので、アルミ缶のプルタブ同様取り外して缶と別々に処理するか、
「プルタブを集めて車椅子に交換」してもらえる団体に送れば一石二鳥ですね。

車椅子の贈呈も出来ますから一石三鳥ですか。




このような行程で空き缶はリサイクルされます。

アルミ缶とスチール缶とは選別され
別々にプレスされてからそれぞれの金属問屋に運ばれます。

この時に運びやす いのでプレスが良いわけです。




何でチップが良いの?

なぜ、チップが良いのかと言いますと、600℃以上の高温で溶けたアルミの中に水分が入ると水蒸気爆発といって非常に危険な事が起こります。

飲み残しの缶が混ざっていたりしますと危険ですので、これを避けるために細かく切って水分のないことを確かめてから炉の中に投入します。

アルミの中にちょっとでもスチールが入るとアルミの純度が落ち、価値が一気に落ちてしまうこともチップ化の大きな原因です。

故意か偶然か何かはっきりしませんが、アルミ缶のプレスブロック品の中に異物がどっさり混ざっていることがあります。
外から見てもわからないようにちょうど真ん中あたりに入っていますから、業界ではこれを饅頭にたとえてアンコと呼んでいます。

こんな物を作る方が手間だと思うのですが。

どうやら重量を稼ぐのが目的のようです。

その他にも荷台に積んだアルミスクラップに大量の水をかけて、水で重量を稼ぐという方法も行われているようです。
引き取り側は「水引き」として単価を安くするようです。

時には、空き缶の中に注射針が大量に入っていた場合もあります。
おそらく自宅で治療に使ったあと、捨て場に困っての事だと思われます。
医療廃棄物法違反です。
その他にも空き缶の中には釘やパチンコ玉が入っていたりします。

これらは外から見ても判別はつきません。
想像もつかないような、こういった不可抗力もあるのです。
まだまだ他にもたくさんありますが、このような事でプレス品よりチップ化した方がリサイクルに適しています。



昔は嫌われ者のように扱われていたスチール缶。・・・・・・しかし今では!


鉄スクラップには統一規格があり、スチール缶をプレスしたものをCプレス、粉砕(チップ化)されたものをCシュレッダーと区分されています。
スチール缶の品質は鉄スクラップ全般からみればほとんど変わりません。でも、価格は鉄スクラップ標準品よりも安くなっています。
アルミ缶の価格と比べると1/10〜1/20です。

ほとんどのスチール缶の表面には錫(すず)メッキがほどこされていて、溶解したときに溶け込んでしまいます。
この錫が鉄本来の粘り強さを失い、もろい鉄にしてしまいます。

そのため鉄スクラップの中のスチール缶は20%が限界でした。
再生されてもビル建設に使われる品質価値の低い、鉄筋用の丸棒くらいにしかなりません。

品質の高いものを作っている電炉メーカーではスチール缶はそんなに入れませんし、まったく使っていないメーカーも少なくありませんでした。
そのため値も安く、リサイクルの障害にもなっていました。

しかし、最近のスチール缶にはこの錫を極力使わなくして、リサイクルに適した材質に変わってきました。

その結果、アルミよりもリサイクル回収率は良く、もともと鉄をもろくするもうひとつの元素である銅の含有量が低いので、製鉄工場では高級鋼に生まれ変わっています。

電炉で鉄を溶かすには、電極棒からのアークの熱で鉄を溶かします。

そのため、大きなブロックよりも小さなブロックの方が熱伝導率が良いのです。
ブロックよりもさらに小さなチップの方が電極棒の消耗度も熱伝導率も優れているのです。

電炉の一番下にチップを入れると、その後に大きな鉄の固まりを入れるときのクッション材にもなり、さらに一番上にチップを入れると電極棒の消耗度にも優れているのです。



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