クルマは人の意図を理解してくれるのか?

 最近、発売される車には安全運転支援装置が標準装備になりつつある様です。その事は良い事なんですけど少し気になる事があります。
 いつも拝見している ある愛犬家さんのブログで、ディーラーから代車を借りられた折に安全運転支援装置の警告に困ったと書かれいてしました。
 特に「前を走る自転車を避けるためにセンターラインに寄った時に車から警告を出されて困った。」と書かれているのは気になりました。
車というものは「車線の中央を走らせていればそれで安全」というものではなくて、事故を起こさない為やスムースな交通の為には 時に意図を持って端に寄ったり、車線を踏み越えたりする必要もあると思います。それをいちいちクルマから警告を出されたんでは鬱陶しくて仕方がない……。


鬱陶しいと言うだけで済むことでもないんです

 最新の車の中には自動的に車線を維持する機能もあるそうです。
もし、前を走っている自転車を追い抜こうとドライバーが意図を持ってセンターラインに寄せているのにクルマが勝手に車線の中央に戻してしまったら……。
あるいは対向車が何かを避けるためにセンターラインを踏み越えているから端に寄せているのに クルマが車線の中央に戻してしまったら……。
 ドライバーが一定以上の力でハンドルを切れば車線維持機能はキャンセルされると言うのは聞いたことがありますけど、ドライバーがこれ位の力でハンドルを切らないとキャンセルされないんだと意識していないといけないなんて 何だかなァ~。
 便利になるはずの機能のためにドライバーがそれに合わせないといけないなんて本末転倒なんじゃないですか? 無意識の逸脱か意図しての踏み越えかクルマが理解してくれないといけないと思うんです。


今、自動車メーカーの開発の重点は“自動運転”の様です

 数年後には自動運転のクルマが一般道を走るかの様相です。でも僕は懐疑的ですね。しばらく前にテレビで 日本のある自動車メーカーの自動運転の開発を取材されていたんですけど、道路を走らせるだけで なんとなく精一杯の様子。白い車線が消えかけていると運転が不安定になる。でもそれだと最低限「自動で運転ができている」と言うだけに過ぎないんですよね。
つまりそれは、“自動運転のための自動運転の開発”であって“事故を起こさないための自動運転の開発”になっていない。自動運転の開発に集中しすぎてしまって何のために開発しているか忘れてしまったんじゃないですか?


一般道を事故を起こさずに車を走らせるためには

自車をどう運転するかだけではなくて、周りのドライバーの意図も意識する必要があると思うんです。
 例えば、僕は 交差点で右折する時、対向車のスピードと距離だけではなくて加速度と言うのも意識しています。つまり、こちらが右折で待っているのに対向車が加速しているなら相手のドライバーに道を譲る意思はないと判断して待つことにしています。対向車線の向こう側に何かモノが落ちていたら対向車がセンターラインに寄ってくるかもしれないと左端を走ります。
 他にも歩行者や自転車などその動きを考えないといけないものは沢山あります。特に自転車の場合乗っている人がお年寄りかどうかも判断しています。お年寄りの場合、突然 フラつかれる場合があるので横をすり抜ける時 充分に間隔を取っています。
 自動運転のクルマは果たしてその様な“状況に合わせた判断”と言うものをしてくれる様になるのでしょうか?


問題は自動車メーカーの認識です

 自車をどう運転するかだけしか考えられていない自動運転のクルマは周りの車、人、自転車とうまくお付き合い出来ないから(つまり意図、動きを理解できないから)きっと事故を起こすと思うんです。
 そのことをメーカー自身が認識していないとしたら問題です。最初の安全運転支援装置の例でいうと ドライバーが意図を持ってセンターラインに寄せることに対処しないといけない とメーカーが認識していないと言う事ですよね。認識すらしていないのなら それに関しての開発なんてしているとは思えないですよね。
 ドライバーは自身が認識しているより よっぽど多くのものを見て取っているんだと思うんです。周りのドライバーが乱暴な人なのか優しい運転をする人なのか? 前を行く自転車の人はフラつかさせずに乗ることが出来そうな人なのか? ハッキリ言って最先端のAIが必要なレベルになるんじゃないんですか? (よく知らないけど……) その行動から他人の意図を理解すると言うのは単純なロジック(プログラム)だけでは出来ないと思うんです。
 自動運転のクルマのエンジニアはそのことを念頭に置いて開発されているでしょうか? 今すぐにでも発売されそうな自動運転のクルマですけど結構ハードルは高いと思うんです。



2017/09/13



戻る 巣窟トップ クルマ