仮想通貨って何処まで安全なんでしょうね?


 仮想通貨は「ブロックチェーン」と言う技術で偽造、複製は不可能なんだそうです。だから安全性には問題はないんだそうです。
 ところが最近もまた仮想通貨の盗難(流失)事件がありました。しかし、これは取り扱い業者のセキュリティの問題の様だから仮想通貨そのもの問題では無いでしょう。


僕は仮想通貨には別の問題があると思うのです

 偽造は出来ないかもしれませんが、乱造は出来るのでは無いでしょうか? 説明では、“Bitcoin”とは少しづつ“採掘”される物だそうです。しかし“採掘”とはあくまで比喩的表現です。本当に採掘されている訳ではありません。 実際にはプログラムにより新規の通貨データが作成されているに過ぎません。条件を限って少しずつ、少しずつ新規の通貨データが世間に出されている事を“採掘される”と表現しているだけです。
 何が言いたいのかというと、第三者が勝手に作り出すことは出来なくても、仮想通貨の管理者、プログラムの開発者なら幾らでも新規に発行することは可能なのでは無いでしょうか? どれだけの量を“採掘する”かは管理者の胸先三寸次第です。プログラムを「ちょこ、ちょこっと」変えてしまえば採掘率など どうにでもなると思うのです。


偽札(通貨偽造)の問題は

単に偽造した人間が詐欺的に儲けを得ることだけでは無くて、通貨が大量に出回ることによって本物の通貨の価値まで下がってしまうことだと聞いたことがあります。それは、通貨そのものを混乱させてしまう事だと言えると思います。もし、仮想通貨が何の制約もなく大量に発行されれば同じことが起こるのではないでしょうか?


単なるデータに過ぎない仮想通貨を

新規に発行する事など造作のないことではないのではないでしょうか?
 仮想通貨を普及させる最初の段階で管理者は世間の信頼を得るために乱造などしなかったかもしれません。 しかし、ある程度普及しつつある現在、乱造することなど容易な事でしょう。
 いえ、仮想通貨を真剣に通貨として普及させる事を目的とされていた方は努力を無にされる事はないかもしれませんが、これから参入しようとしている管理者(業者)は果たしてどうでしょう。中には「勝手にお金を発行する事が出来るんだ。」と捉えられている管理者(業者)もいらっしゃるかもしれません(そうじゃないとしたら どうして起業家は新たに独自の仮想通貨を始めたがる? みんなから儲かるモノだと注目される様になった今、雨後の筍のように……)
 “無”から価値のある物を作り出せる仮想通貨の発行には余計な誘惑に満ちています。その仮想通貨の立ち上げの時には規律を守って対処されていたかも知れませんが、窮すると安易に乱造されるかも知れません。また、各仮想通貨の管理者が覇権を争って大量にばら撒くかも知れません。 それを監視する人間はいません。乱造されれば一気に価値が下がってしまう事でしょう。


もう一つの問題として投機的な意味を持ってしまった為に

通貨としては使いづらいモノになってしまいました。そうだと思いませんか?
 日々の暮らしに使われるお金(通貨)として一番大事なことは、支払う側と受け取る側が共通の価値の認識がある事、そしてその価値が安定している事だと思います。これらが無いと日々の暮らしに使うお金としては非常に使いづらいものになります。
 考えてもみてください、一ヶ月の給料として受け取ったはずのお金が半月後に価値が半減してしまったら、そんな通貨で給料は受け取りたくないですよね?  あるいは、例えば自動車の販売店なら自動車一台分の代金として受け取ったはずのお金の価値が数日で半減してしまったら? これはもうお店の存続の危機ですよね?
 しばらく前までは値上がりを続けていたのでそんな通貨で支払いを受け取ることが出来れば何倍にも増えて「ウハウハ」だと思われていたかもしれませんが、相場のあるものはいつか値下がりします。 事実、“1 Bitcoin”は一時期200万円ほどにも値上がりしましたが、あれよ あれよ と言う間に半分ほどに値下がりしてしまいました。先の話は根拠のない話ではないのです。
 そんな通貨は日々の生活で使うお金として使いづらいのです。今、仮想通貨で支払いを受け付けられているお店も、今後、もしかしたら受け取りを拒否されるかもしれません。


誰もが受け取りを拒否したら仮想通貨の価値は“0”になります

 受け取る側が 今度はそれを自分自身の支払いとして使えると思うから 受け取りを拒否しないだけです。元来、仮想通貨のデータとはそれ自体は無価値です。何かがその価値を保証している訳ではないからです。
 それ自体は価値が無いのだから“ツブシ”が効きません。その昔、通貨とは価値ある物、例えば「金」や「銀」などとの交換が保証され(兌換通貨)それによって価値は保証されていました。
 例えば「金」で保障されていれば金の相場が下がったとしても、工業製品の材料としての「金属の“金”」の価値は無くなりません。最悪、お金を「金」に変えて“地金”として売ることはできます。「兌換通貨」は“ツブシ”が効くのです。 しかし、仮想通貨は違います。仮想通貨は それ自体は無価値です。そして、何かによって価値が保証されている訳ではありません。現実通貨によって保証されていれば話は別ですけどね。誰もが受け取りを拒否をしだすと価値は下がり続けます。そして、仮想通貨は“ツブシ”が効きません。最悪の場合、価値が“0”になります。


現実通貨は最悪の場合でも納税のためには必要になります

 日本で生活していると何らかの形で日本国に納税する義務があります。日本という国に納税する為には“日本円”でなければなりません。(あれっ? 外国の通貨で納税できるのかな? 勉強不足だ……。) “日本円”が日々の暮らしで使われなくなったとしても、少なくとも税金として納める分は“日本円”に換金する必要があります。だから、“日本円”は兌換通貨では無くても“ツブシ”は効くのです。誰からも必要とされない通貨にはならないと思うのです。


人々が受け取りを拒否しだすと「ババ抜き」状態です

 仮想通貨は 少し前までは常に値上がりを続けていたので皆さん「持ってさえいれば何倍にも増えるモノ」だと思われている様ですが、この先はどうなるか判りません。この先もまた、10倍、20倍と値上がりするかもしれませんし、1/10、1/20になるかもしれません。しかし、乱高下するのは間違い無いでしょう。相場に長けた人なら十分に稼ぐことが出来るかもしれません。しかし、持っているだけで値上がりするなんて考えるのはやめましょう。これからはプロの相場です。
 「まだ、値上がりする。」、「また、値上がりする。」と いつまでも持っていると最初に買った(投資した)額にも戻らないまま価値が無くなるかもしれません。最後まで持っていると「ババ抜きのババ」を掴まされる事になりかねません。サッサと始末しましょう。
 儲けることに未練があるなら“0円”になっても惜しくないだけの最小限の額にしましょう。全財産を仮想通貨で持っているなんて正気の沙汰ではありません。


仮想通貨の将来がどうなるかは判りません

 あっ、いえ、これはシロートの僕の私見です。ちゃんと経済、通貨のことを研究された方は「いや、そんなことはない。大丈夫だよ。」と言われるかも知れませんし、何処かの政府が何らかの形で保証してちゃんと通貨として使えるものになるかもしれません。
 しかし、何も知らないまま、「何だかわからないけど、みんながやっていて儲かりそうだから自分も!!」という人に僕の意見を聴いていただきたくて この文章を記します。
 管理されない自由を求めて普及してきた仮想通貨ですが、管理されない故の危険性も秘めていると思います。



2018/03/09



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