前章で、だ円的非ユークリッドの世界での直線の様子を見ました。 ここでは、三角形について見てみます。
だ円的非ユークリッドの世界で、三角形を遠くへ無限の彼方へと動かしていくと、どうなるのでしょうか。
右のFig.1は、三角形を青い直線上で一定間隔に動かしてみたものです。 赤いスポットは三角形の重心です。 見た目に三角形は小さく小さくなっていきますが、実は同じ大きさです。
三角形の内角の和は、図の上の黄色い数値のように、ちゃんと計算できて、話に聞くとおり
より大です。 これは球面幾何で計算されます。
Fig.2は、三角形の大きさを変えていってみたものです。 三角形の内角の和は、
より大きく、三角形が大きくなるにつれて、ますます大きくなります。 しかし、その最大値は、3
です。 このとき、三角形は円板の縁(円周)になります。
ユークリッド半径1の球面では、内角がA,B,Cの三角形の面積Sは、
となります。 面積Sの最大値は、2
です。 それは、半球面の面積そのものです。そして
Fig.3は、ついでに前章にならって双曲線を描いてみたものです。 奇妙な格好ですね。 青い曲線は、漸近線です。 ひょっとしたら、白い双曲線は、球のように見える円板の裏側でつながっているのかも知れません。
正しいとされている楕円幾何のモデルの条件は
モデルの形は球面である(半径1)。
大円を直線とみなす。
長さは、球面上のユークリッド的長さである。
直線の長さは有限で、その最大値は
となる。
角は、大円と大円のユークリッド的交角である。
対心点を同一視する。
というものです。
これまでに描いた図は、この条件を満たしていません。 まず、この条件には無限遠が含まれていません。 それに、モデルの形は球全体です。 どうも不都合な気がしますね。
ともかく、「双曲的非ユークリッドの世界」へ進みましよう。 そして、双曲幾何と対比するときに、モデルの工夫をすることにします。