数多くの工程を経て、天然素材のボタンが生まれる。

1. 

   ブランク

   当初は原貝を直接輸入し日本で刳り抜いていたが、近年は現地で刳り抜いたもの(ブランク)を輸入している。そのため「刳り場」という工程はなくなった。

2. 

   摺り場

   ブランクはでこぼこしているため、回転している砥石で平らにする作業。微妙な色の見比べやボタンの厚み調整などを行う重要な工程の一つ。

3. 

   挽き場

   「型付け」とも呼ばれる。ボタンの表面に膨らみや溝などの型を付ける工程。使用する刃物(バイト)の調整も重要で、行える職人は稀少。

4. 

   穴明け

   ボタンに穴を明ける工程で、２つ穴・４つ穴はポピュラーだが、近年は細い穴や間隔の狭い穴などがデザイン性としてトレンドとされている。

5. 

   化車（がしゃ）

   ボタンのカドに丸みをつけ、小割や筋をとる工程。化車(がしゃ)と呼ばれる箱の中にボタンと水・磨き粉を入れて約３～６時間回転させ、周りのバリを取り除く作業。

6. 

   艶出し

   テッポウと呼ばれる桶の中に熱湯とボタンを入れ水溶液(塩酸や硫酸)を点滴のように垂らしながら、およそ１時間回転させる。ボタンの表面を少しずつ溶かしながら艶を出す。

7. 

   ロウつけ

   伊保田(いぼた)ロウというロウを付着させたモミや小麦などを、ボタンと一緒に「モミ化車」でさらに１時間程度回転させる。ロウが貝ボタンになじみ手触りがとても良くなる。

8. 

   選別

   通称「よりわけ」と呼ばれ、良品とキズやカケのある欠陥品とを選別する。経験を活かした眼力と指先による確かなチェックを経て良質なボタンが市場に届けられる。

9. 

   完成