ゴンボノとセムノース(7月5日)

赤い線が2時間3分の飛行の軌跡。パイロット達はTO付近で高度を上げて青い線のようにアラビス山脈に行ってLDに降りる


バリオメーター(昇降計)の記録、安定した上昇気流に恵まれ無理なくソアリングを続けられた。最後はビッグイヤーで降下

ゴンボノ(綴りからはグラン・ボルナンと言った方がいいがゴンボノが発音に近い)は去年のツアーの最終日に行った大きなスキー場だ。
標高2100mのラシャからTOして標高1000mのポシェのLDまで1100mの落差がある。
リフトを降りたところでアラビス山脈を眺めながらツアーリーダーの半谷さんがフライトの説明をする。
「ここでは2400mまで高度を上げたらアラビス山脈のあの尾根まで余裕で飛べるから岩壁に取り付いてそこで上げて・・・・」
親父の初級機の性能と技術ではアラビス山脈まで飛ぶことは許されないから適当にこの辺りでソアリングして降りるだけだが出来るだけ長くソアリングしていたい。

TOがあるラシャ山頂に登る6人乗りリフト駅

早めに準備完了した親父は2番目にTOした。
教わった通りLDとの間の岩峰の上空でサーマルにヒット、バリオ(昇降計)の音が高くなる。
センタリングを続けていると高度は上がりついにトップアウト。
その間に他のパイロットもどんどんTOして来る。
岩峰上空のサーマルが渋くなったので他機が集まっているリッジに行ってみたら「そこから右に行き過ぎると戻れなくなるよ。」とインストラクターから注意があった。
それが親父向けの通信の最後で後は大勢上がったパイロット達をアラビス山脈へ誘導するために半谷さんも他のインストラクターもパイロットに次々に指示を出している。
正一郎さんもテイクオフして2400mまで上げたパイロット達を先導してアラビスに向かって飛んで行った。

アラビスに向かうパイロット、モンブランが見える

そのうち「高度が下がってLDに届きそうにないのでアウトランディングします。」とか
アラビスの斜面に近づきすぎ降りてしまったパイロットに
「そこからテイクオフ出来そうか。近くにいる人に手伝って貰えよ。」
というインストラクターからの声が入ったりして無線が忙しくなってきた。
他のパイロットからも
「アウトランディングしてしまいました。」
「見えていなかったが何処だ。」
「牛がたくさんいるところです。」
「この辺りには牛はどこにでもいるよ。もう少し場所が分かるものは無いのか。」
などインストラクターも少し焦ってきた雰囲気が聞こえてくる。


ここは夏は牧場、冬はスキー場になる

斜面に降りてしまったパイロットから
「上手くテイクオフ出来ました。」
アウトランディングした人から
「ヒッチハイクでLDに向かいます。」
親父は上空にいるので良く無線が聞こえる。
探せばアウトランディングした機体やTOしようと頑張っている機体が見えたはずだが親父もサーマルで旋回中。
他の機体との衝突やセンタリングに神経を集中させなければいけないからゆっくり眺めている暇はない。
そのうちアラビスを回ってフライトしたパイロット達がLDに着いてランディングし始める。
ランディングでミスをした機体があったようでまた緊張したやり取りが聞こえる。
その間、親父は岩峰上空や注意されたリッジの近辺でサーマルを探してソアリングしていた。
高度2200〜2400mを飛んでいるのでアラビス山脈の向こうのモンブランが良く見える。


まだソアリング出来るがそろそろLDに向かう

だが、1時間後ぐらいに高度が1800mまで下がったのでそろそろ潮時だ、インストラクターに連絡してLDに向かおうかと考えた。
だが、その前に粘ってリッジの方に行ってみたらいい上昇気流があり一気に2400mまで力強く上昇。
それからは昇ったり降りたりはあるが2000m以上を安定してキープ、最高高度は2650mまで上がった。
ここまで上げれば標高2500m前後のアラビス山脈は下になってモンブランの麓まで見えてくる。
本来であればこの高さを使ってアラビスとかラクルーズの方へ飛ぶのだが練習生では許されない。
やがて、ほとんどのパイロットはランディングして地上ではやっと落ち着いたようだ。

無事ランディングして2時間フライトの記念写真

そこで
「そろそろ降りましょうか。」
と呼びかけてみた。
「え!何処にいますか。」
「TO上空です。」
「?・・あ・・・もう少し飛んでいてもいいですよ。」
やっぱりすっかり忘れられていたらしい。
滞空許可も確認したのでしばらくソアリングしていたがもう全員LDしている。
1時半を過ぎて腹も減ってきた。
皆さんも食事はまだなのであまり待たせたら申し訳ない。
そろそろ降りるか。
LDまで飛んでも1000mほど高度差がある。
ビッグイヤーで旋回を続け一気に700mほど高度処理。
LDのインストラクターの誘導でナイスランディング。

GPSの記録で滞空時間2時間3分の大飛行が終わった。
この後、アヌシー湖西にある標高1500mほどのセムノースに移動。
5時ごろTOして西向きの断崖を使ったリッジソアリングで1980mまで上昇。
ここまで上昇すればアヌシー湖も見え、さらに奥にアラビス山脈も望める。
他に飛んでいるパラは少なかったのでゆったり29分の良いフライトが出来た。
良かった、良かった、この日は2フライトとも親父としては大満足の出来だった。

ところでツアー初日、2日と一緒になったXアルプスに向け調整中だった扇沢チームはXアルプスの1日目はトップでした。
ところが高度制限(航空路との関係で高度制限のある空域)違反で失格になってしまいました。
トップのニュースで大喜びしていたのですががっくりしています。
次回(再来年)また挑戦してもらいたいと思います。

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