やっぱり自動運転は時期尚早だ!!
ついに自動運転の車が人を撥ねる事故が起きてしまいましたね。ニュースなどの映像を見ると、運転席に座って自動運転を監視している筈の人間が車内の何かに視線を落としていて道路を渡ろうとしている人に気がつかなかった様です。
きっと滅多にない
自動運転車のミスを監視するという苦行に耐えかねてスマホかなんかを見ていたのでしょうね。
(えっ、計器か何かを見ていた? それは失礼を…)
それ以外に僕が思ったことがありますので少し書かせてもらいます。
人間の目は案外 感度がいい
昔、工場で夜勤をした時に「人間の目って案外 感度が良いんじゃないのかな?」って思ったことがあるんです。
夜中の休憩の時に外に出た時なんですけど 山へと登って行く遠くの高速道路
(もとい、高規格道路です)を走る自動車のヘッドライトの光が見えたんです。工場から道路まで優に10km以上。光の場所や動きから考えて間違いなく車のヘッドライトです。
近くで見ると眩しいヘッドライトもさすがに10kmも離れると見えないだろうと思われるかもしれませんが 案外見えるんです。もちろん周りに光源のない真っ暗な山の中を走る車のヘッドライトの光線の方向が自分の方に向いたので見えたんでしょうけど、人間の目って ごく微小な光に対しては、案外 感度は良いんじゃないかと思ったんです。
翻って機械の目です
先の事故の車の前方を写した映像では、暗闇から自転車を押した歩行者が突然現れました。もし、あの映像を元に運転していたとしたら、多分 自分も事故を起こしていた事でしょう。あんなに急に歩行者が目の前に現れたら車を止めることは出来ないと思います。
何を言いたいのかと言うと、「T.V.カメラの感度は案外低いのではないのか?」と思ったんです。
特にごく微小な光に対しては感度が弱くて、人間の目なら ぼんやりとでも見えている ヘッドライトが照らさない暗い部分も、カメラで捉えると真っ黒になってしまうのではないでしょうか?
開発者は人間の目とコンピュータの目
(T.V.カメラ)の特性の違いを考慮せずに「カメラで映した映像に対処すれば自動運転に問題はないだろう」と考えてしまったのではないでしょうか? もちろん、この様なことは実際に起きてみないと判らないことです。しかし、それが事故にならない様に監視者が運転席に座っていた筈です。実験走行にしか過ぎないのに、事故なんか起きないだろうと監視を怠ったことが事故を防げなかった最終的な原因だと思います。
人は認識できていないモノにも対処している
人が自動車を運転する時、ヘッドライトが照らさない暗闇でも何か動く気配を感じれば、それが人の姿だと認識できなくても「何かあるかもしれない」とスピードを緩めると思います。運転免許を取った時に言われたでしょ、「『だろう運転』はいけない、『かもしれない運転』をしなさい」と。
運転歴の長い人は ハッキリと“危険だ”と認識しない時でも「危険になるかもしれない」と予測してそれに対処できるスピードまで落とすのです。
自動車メーカーの自動ブレーキのテレビ コマーシャルでは、車載コンピュータは車や人の姿を認識して回避行動を取ると説明しています。
裏を返せば人や車と認識しないものには回避行動を取らないとも受け取れます。自動運転車がこの技術の延長で作られているのだとしたら問題です。
それは危険を感じてからそれに対処すればいいと言う考え方です。それではいずれ事故を起こします。どんなに運転が上手くても物理の法則には勝てません。危険を認識しないからと時速50kmで走っている時、10m先に急に「人」と認識できる物が現れたら車を止めることはできるでしょうか?
「そんなに近づくまで気が付かないはずはないだろう!!」いえ、物陰から人が飛び出して来る可能性と言うものを考えないといけません。田舎の道では車道に直に面して門や玄関があるなんてザラにあるのです。「子供が玄関から飛び出して来るかもしれない」と準備をしていないといけません。
危険を認識出来ないからと言ってスピードを緩めることをしなければ事故になるのは当然でしょう。
今回の事故の自動運転の車はどうだったでしょう?
ヘッドライトが照らさない暗闇は自動運転しているコンピューターにとって擬似的に物陰になってしまったのではないでしょうか? さらに悪いことに それは「物陰」とも認識されていなかったのではないでしょうか? たとえ、「物陰」に対処できる様にプログラムされていても「ヘッドライトが照らさない部分は物陰である」とプログラムされていなければ、「物陰」に対処できていないのと同じ事でしょう。
人が車を運転している時って
厳密に何かのルールや手順に従っているだけではなくて、もっと総合的な判断をして運転しているのでしょうね。そうじゃないと人が歩く様なスピードでしか車を走らせることは出来ないと思います。
自動車メーカーは数年以内にでも自動運転の車を売り出せるかの様に言っていますが果たしてどうでしょう。自動運転の車が「危険になるかもしれない可能性」を予測できる様になるのでしょうか?
「出来る様にはなったけど周りで何か起きるとすぐに停車してしまって使い物にならない」なんてことになるかもしれませんね。僕は「やっぱり
自動運転は時期尚早だ」と思い直したのです。
2018/3/29