日本の景気の鍵を握るのは誰でしょう?


総理大臣? 経団連の会長? 通産省のお役人?

 僕は思うのです日本の景気の鍵を握っているのは「どこの馬の骨とも知れないただの平社員」じゃないかと。

「一体なんの話。なんでそんなこと思うの。そんなことあるわけないだろう。」と思われるでしょう
でも、結構いい所を突いていると思うので話が飛びますがちょっと聞いてください


今、日本の会社経営のトレンドはコストカットです

 いかに部品を安く仕入れるか? それを成功させた人が昇進して、高給を取れるのです。大手で働く仕入れ担当者さんは部品納入業者さんに部品単価の引き下げを要求します。
 でも、本当のコストカットなんてそこらじゅうに落ちているわけではないのです。いろいろなことに注意をして、努力に努力を重ねて……… それでも有効な手なんてなかなか出て来ないでしょう。
 部品業者さんもコストカットの必要に迫られます。でも、やっぱりコストカットはそこらじゅうに落ちていません。下請けの部品業者さんに単価の引き下げを要求します。
 末端の部品業者さんもコストカットを迫られます。でも、部品単価の引き下げを要求する下請け業者はありません。自分が末端業者です。
 必要経費は減らせません、既に儲けはほとんどありません、出来ることは人件費を削ることです。昇給させない、雇う人数を減らす………


安倍総理は無理な部品単価の引き下げを部品納入業者さんに要求しないようにお願いされています

 でも、そんなの誰も聞かないと思いますよ。だってそうでしょ、自分の昇進がかかっているんですから。時代は成果主義です。成果を上げなければ昇進できません。仕入れ担当者の成果とは部品を1銭でも安く買うことです。そのあと何があろうが知ったことじゃない………


 かつて、ナチスドイツ時代、ユダヤ人を強制収容所に送ったアイヒマンは別にユダヤ人特別な感情があったわけではないそうです。ただ、自分がヒットラーから認められ、昇進するためにそうしたと…… (参考 : たしか、朝日新聞の天声人語で読んだと思う)


今、景気が冷え込んでいるは人々が物を買わないからですよね?

 少なくとも、大臣やお役人は物がバカスカ売れれば景気が回復すると思っていますよね? それが本当かどうかは別として。
 なぜ物を買わないか? 商品に魅力がないから購買欲がわかない? 物欲を滅却したから?
 いいえ、単純に物を買うお金が無いのです。給料から生活に必要なお金を支払うと残りがほとんど無いからです。“欲しい”と思っても買えないから“欲しいと思わない”様にしているのです。(関連「消費者は労働者で、労働者は消費者だ」)
 日本では給料所得者のうち中小、零細企業で働く人が多くを占めるそうです。物を買う人の多くは中小、零細企業で収入を得ているのです。物が売れるかどうかは中小、零細企業で働いている人の収入が決めているのです。(ちょっと言い過ぎかな? でもそれに近いと思う。)



え~と、話が飛びましたね……

「どこの馬の骨とも知れないただの平社員」の話ですね
 大手の企業で部品の仕入れを担当しているのはそんなにエライ人ではないのではないでしょうか? 少なくとも幹部クラスの人はいちいち部品の納入単価なんて気に留めていないと思います。部品納入単価を決めているのは、昇進を望むただの平社員では無いでしょうか? (平社員じゃないにしろそれに近い立場の人)。 自分の決めたことが納入業者さんで働く人の給料を決めているなんて考えてもいない。そう、景気の鍵を握っているのは「どこの馬の骨とも知れないただの平社員」。



いかがです。結構いい所突いていると思うのですが

 じゃぁ、どうすればいいかって? 最低給料の引き上げくらいでしょ、出来ることは。少なくとも1日2,3時間の学生アルバイトとパート扱いにしろ1日8時間で数年以上働いた人との最低給料は分けて考えないといけないんじゃないでしょうか。
 倒産する会社が増えるって? 部品単価の引き上げを要求しなきゃ。納入先の会社は認めてくれないでしようけどね。社員さんだって自分が生活するために働いているんであって“会社のために働いている”なんてただの建前です。会社を倒産させないために社員さんの生活が行き詰まったら本末転倒です。社員さんの生活を守らなきゃ。自分の生活を守ってくれない会社なんていずれ社員さんも離れていくと思いますよ。




 最後に「どこの馬の骨とも知れないただの平社員」さん偉そうな言い方してすみません、「以前、零細企業で働いていた、どこの馬の骨とも知れないただのシロート」よりお詫びを申し上げます。


2015/05/20



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