密植
吉野杉の特徴のひとつである、せまくて均一な年輪巾を生み出すための工夫があります。それは1ヘクタールあたりの植林地に、8,000~12,000本の苗木を植える密植。他の地方では3,000~5,000本ぐらいなので、この地方の本数の多さがよくわかります。木と木の間がおよそ1メートルぐらいの間隔で植えるので、それぞれの樹木は若いときに太くなりすぎることはありません。
除伐と間伐
密植して植えられた木々が育つと、だんだん林の中は暗くなります。成長にあわせていい木に育ちやすい環境にするために、また、収益を得るために除伐と間伐が繰り返されます。
-
密植
10m四方に約8~12本ほどの間隔で密植。
植林間隔が狭いと、お互いが成長を抑制し合うので一年一年の成長がゆっくりです。除伐
不良木などを除いて良い木だけでできた林をつくります。
間伐
林の中の密度を調整して、風通しや日当たりをよくします。40年生からの間伐は収益目的として伐った木は販売されます。主伐
主伐される木は樹齢100年や200年以上のものが多くあります。
繰り返し除伐、間伐をおこなって残った木は年輪が細かく均一です。板目や柾目にしたときの杢の美しさは、この年輪のおかげです。
枝打ち
幹からのびた枝をほそいうちに低い位置で打ち落します。無節完満の良木に育てるために欠かせない作業です。 また、もともと密植していた吉野地方では枝打ちするまでもなく枝が自然に枯れて落ちたものでした。
-
① 葉からの光合成をおさえ成長をゆっくりにさせて、年輪の幅を緻密に細かくさせます。
② 何十年かあけて枝を落した跡は覆われ、その後成長した部分は板にしたときに節が現れない材ができます。
葉枯らし
伐倒後は枝葉をつけたまま末口を必ず斜面の上向きにして林内に放置し渋を抜く『葉枯らし』と呼ばれる自然乾燥がおこなわれます。期間は半年~1年間以上。こうして自然乾燥させてことで、吉野杉は淡紅色の独特の色みを深めてゆきます。