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中村茂史一級建築士事務所

大宇陀に住もうと思って一ヶ月後には見つかったのが二年間借りていたこの家。

僕らは大宇陀在住の知り合いに借家の希望として「小さいこと」をあげていた。6畳一間ぐらいがいいなと思っていたら、1階が3畳二間、2階が3畳と6畳の家が見つかった。

なんともかわいらしいこの家はある一人の美しい女性のために建てられたというもので、その方が亡くなって8年間も空き家だったのだが中は何も手を加える必がないほどきれいな状態だった。

ある理由によりこの家は特別に丁寧に造られている。だからだろうか、非常に居心地がいい。大工さんの気持ちが今でも生きづいている。

土壁、真壁造りの昔ながらの木造で、内部造作はこれまた昔ながらの木割法にもとづいた繊細な感覚が活かされたもの。例えば天井板の巾はその部屋の大きさに比例して変えられている。建具なんかもかなり凝ったものが使われている。

モジュールは京間になっておりこのことが随分とゆとりを与えている。2階の6畳間は関東間の8畳の感覚だ。

1階の3畳間には堀コタツが収まっているが4人座ってもいい感じだ。

とにかくこのコンパクトさゆえ、暖房も石油ストーブ一台で十分にまかなえる。一冬の暖房費は灯油18リッター容器で6本で済んだ。

室生のハナシ

2005年春
2005年夏
2005年番外編(採蜜)
2005年秋
2006年夏
2007年春

大宇陀に住んでいた
頃のハナシ

食・・・
冷蔵庫なしの暮らし

住・・・
我が家は3畳間

遊・・・
廃屋探検他

現場ででる端材と製材所ででる端材で作った仕事机。イスはポルシェ911の純正布シートで疲れ知らず。手前の白黒テレビは粗大ゴミget品。少し写ります!

階段は一間で2階まで上がりきる急な勾配だが慣れればなんてことはない。天井懐がないので階高が低いから急といってもたいしたことはない。(ちなみに階高=2450ミリ。階段は11段で蹴上が約218ミリ、踏み面は185ミリ)

照明はガラスセードの古くて味のあるものを探して使っている。ここに越してきて近所の電気屋さんでなにげなくそんな話をしたら「ちょっと待てよ」とその店主は言って奥の倉庫から40年前のデッドストックを持ってきてくれた。

さっそくその二枚を当時の定価のような値段で購入して至極ご満悦。なにしろ京都の骨董品やで買えば1万円以上はするのだ!

家具は何も買っていない。越してきてすぐに偶然に知り合った山持ちさん兼材木屋さんに端材をたくさんいただき、さらに近所に無数にある製材所から切れ端をもらってきて収納をたくさん作った。

仕事場は2階の6畳間だが机やイスは置いていない。現場で余った材料でこしらえたテーブルと車のシート(ポルシェ911のシート)を座卓代わりに使っている。テーブルの下にはあんかが入っていて冬はコタツになるようにしてある。

浴室は一畳。狭いようだがこれも京間のおかげで小柄な女性なら調度ではないだろうか? なにしろ冬でも寒くないのがいい。天井なんかボールト状になっていてこれまたエレガント。これで薪で焚ければいうことないんだが・・・。

1階平面図

2階平面図

写真左:1階北側和室(3畳)
写真右:瓦の棟が三つ重なる2階北側窓からの眺め(今はもうない!)