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シンプルな杉の家

シンプルな杉の家
実際に建っているシンプルな杉の家は間取りこそ異なりますが、工法・材料など全て同じ仕様になっています。

 屋根・軒の出

小屋組には「登り梁構造」を採用することで深い軒の出にもかかわらず軒先が室内側からの視線を妨げるほどには低くならず、屋根構面が水平に近くなるため建物全体として高さを抑えることができ(=台風対策)、屋根重量を軽減しています。(=地震対策)

また野地板に杉の厚板(厚み40mm)を使用することで登り梁のピッチを6尺(1818mm)まで飛ばすことができるため、一般的な和小屋に比べて仕口数を大幅に減らすことが可能となり(=コストダウン)、さらには登り梁/棟木/桁等の部材がすべて渡りアゴで組み合わさることで強固な小屋組となり、その端正な美しさを家の外からも中からも見ることができます。

野地板はその厚み故に断熱性能あり、石油化学製品系断熱材(新建材)等の断熱材を使用することなくタルキなどの下地材も不要となり、木の材積こそ増えるものの工事の合理化が計られコスト的には相殺されます。

欧州に比べ雨量の多い日本では昔から「軒は深くとる」ことが大切であると言い伝えられてきました。「庇(ひさし)」と書いて「庇う(かばう)」と読むことからもそのことがうかがえます。

「シンプルな杉の家」では軒の出を十分にとるとで雨から外壁を守り、夏場の直射日光が室内あるいは南側開口部前の地面を熱することがないようにします。
物理的あるいは法的な制限がない限り南側に1.8m程度の軒の出を確保するようにしています。
(参考:南中時の太陽高度/夏至:約77゜、冬至:約31゜)

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外壁は焼き杉板に漆喰、軒の出は1.8mを確保しています。

 土壁

土壁は文字通り「土に還る」ものでありこれほどの環境に対しローインパクトな壁工法はないといえましょう。また適切に施工された土壁は地震に対して粘り強く抵抗し優れた蓄熱性能により室内環境を安定的に保つものです。

土壁は荒壁のままでは土がボロボロと崩れていくため中塗り仕上げやさらに漆喰塗り仕上げと塗り重ねていきます。中塗りの色はたいへん落ちついた色味となりとくに寝室にはおすすめです。

漆喰塗りにすると室内はかなり明るいイメージになりますが壁に何かを貼ったり留めたりしにくいため、一部の壁を板壁にすることも検討されるとよいでしょう。

ちなみに土壁の家の室内の空気は「柔らかい」感じになります。

土壁はその性能を十分に発揮するために;
・十分な壁厚(90mm以上)
・下地の竹小舞の適切な施工(編み目の間隔)
・使用する土の十分な熟成時間
・十分な量の稲藁、すさの使用
・施工時期への配慮
等が重要になります。

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中塗り仕上げ

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寝かせている土

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子供も一緒に荒壁塗り

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左:竹小舞を編む職人 中・右:団子状に飛び出している

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 杉厚板の壁/板倉又は杉落とし板工法

厚さ3センチ以上の杉の厚板を柱に切った溝に落とし込んで壁を作る工法で、厚板の表面をそのまま室内側の仕上げとし、間柱と厚板の蓄熱性・断熱性で断熱材を省略できる。

また特筆すべきはその調湿性能で夏場等湿度の高いシーズンには窓を閉め切ることで室内の湿度が下がるのでエアコンに頼らずとも快適に過ごすことができます。(雨戸も閉めるとさらに効果的です。)

この工法は木材価格が異様ともいえるほどに下がっている今でしかできないと考えてよいでしょう。杉厚板のの家の室内の空気は「乾いた」感じになります。

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厚み4センチの杉板を1・2階共に採用し、1階の天井は2階の床板の裏側が兼ねています。
杉の床板はナラや桜等の広葉樹の床板と異なり柔らかいため膝への負担が少なく冬場でも冷たくならず、梅雨時でもサラサラとした心地よい質感を楽しめます。

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 お施主さんの感想
お施主さんによる入居後の住み心地についての報告です。

「甲陽園の家」猛暑の夏の感想。
「嵯峨野の家」
「西宮名塩の家」
「枚方の家」

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 架構
設計においては間取りと構造の整合/一体化を高いレベル(=バランスに優れた)で実現させるのが肝要で、そのためには努力を惜しみません。

渡り顎(わたりあご)とよばれる仕口を用いた工法は仕口部分における木材の刻み方として無理のないもので、一般的な十分な部材断面寸法をもたない通し柱工法のような仕口での通し柱の破損→修復至難とはならず、大地震による大きな変形後でも建物の再利用をしやすいという大きな利点があります。

戦後の木造の主流になった「短ホゾ+金物」による仕口では材の乾燥収縮に伴って緩くなったナットを締め直す作業が必要となりますが、現実には肝心な場所のナットは隠れていて締め直すことができず、仕口内部での金物の錆の問題も避けられません。大地震時には短ホゾ故に仕口内部におけるホゾによるめりこみ耐力が期待できず、細くて堅いボルトによるめりこみは割裂しやすい杉材にとっては好ましくありません。

こうしたことがあるにもかかわらず「大壁工法」「単ホゾ+金物」(多くはプレカットによる)が普及してしまったのは、大壁では構造材が見えないので梁に極端に細い材を使ったりする
手抜きが可能であり、金物に頼る簡略化した仕口故に構造材の刻み賃が安く建築費を下げられるからです。

一方、金物を用いない長ホゾを用いた仕口では地震などの短期的な外力に対してはまず耐力壁が抵抗し、続いて仕口がコミ栓と部材同志が互いにめりこみ合いながら粘り強く抵抗するという二段階の破壊モードをもちます。この粘り強さのお陰で、変形量は大きくなるものの躯体そのものの損傷は最小限に抑えられ、例え家が傾いたとしても立ちを直して壁を修復することで再び住居として使用可能となるのです。

将来的にはコミ栓を取り去ることで構造材はすべて分解できますから移築などの再利用も可能です。

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 世界に誇れるニホンの伝統木構造
地球において今日ニホンと呼ばれている地域では太古の昔より地震や津波、台風等の巨大な自然災害が絶え間なく続き、一方でヨーロッパではそれほどの自然の猛威に見舞われることは少なかったようです。

こうした自然環境の違いはかの地に暮らす人間の意識にも大きな違いをもたらしたことは想像にかたくないと思われます。

すなわち、欧州においては自然は人間と厳然と区別されるものとなったのに対し、日本地方においては人間は自然の一部であるという認識をもつにいたったのです(或は区別することがなかった)。

こうした基礎的な認識の違いは地震という自然に対峙する建築物の構造のあり方にも全く異なる進化をもたらしました。

にほんの伝統的な構造様式にのっとれば地震に対しては剛体をもって抵抗するのではなく十分な変形量と仕口の柔軟性/粘りを持たせることで「やなぎに風」のごとく「しのぐ」のです。

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楽しいヨイトマケ
@池ちゃん現場

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