グローバル経済の引き波
一部の先進国では保護主義が台頭しつつあるある様です。かつての好景気が陰りを見せているのは人件費の安い国から製品の流入が原因だからそれらを排除しようという訳でしょう。
しかし先進国の景気後退は「経済グローバル化の引き波」に過ぎないのだと思います。「…???… 経済グローバル化の引き波? 何それ。」と言われそうです。そうです、僕の造語です。
大企業が商品の販路を世界に広げ、世界中からお金が入ってくるのを“寄せる波”に例えるなら、製品の製造が人件費の安い国に移されお金が外国に流れ去って行くのは“引いて行く波”の例えることが出来ると思うのです。
世界中のお金が永久に自国に流れ込んで来るなんて思い過ごしです
波が寄せて来れば その波はいずれ引いて行く。自然の摂理です。波が寄せて来ていた期間が長かったからそれは永久に続く事だと思い込んでいただけのことです。
それに、物を買っていた国から見れば お金という波は引き続けていた訳です。波が引ききってしまえば スッカラカン、先進国から物を買うことはできません。先進国の大企業の販売が鈍ったのはそんな理由もあったかもしれませんね。
(アッ、いえ。あくまで僕の想像です。)
それにそもそも安い労働力を求めたのは先進国の大企業です
何も人件費の安い国が、渋る先進国の大企業に無理やり自国から製品を買わせようとしたわけではありません。むしろ先進国の大企業が自ら望んで人件費の安い国から部品を買ったり、製品を調達しようとしたのでは無いのですか?
“利益”という名のポイントを増やすことを目的としたマネーゲーム のために……。
それは国内の人の
働ける場所を減らしてしまったのです。働ける場所が減れば労働者の受け取る所得も減ります。所得が減れば消費も減ります。“
消費者は労働者で、労働者は消費者です”。自らのあり方の変化により国内の事情もまた変わってしまったのです。保護主義を支持する人たちはむしろ自国の大企業に矛先を向けるべきだと思います。外国の責任にするのはお門違いです。
不法入国の労働者にしてもそうです
自国の労働者が十分に納得出来るだけの給料を支払えば良いだけの事です。それを“利益という名のポイント”を増やす為に、実際に体を動かして働いた人に十分に給料を支払おうとしないから不法入国者が入り込む余地があったのです。本来の国民にしては不満のある給料でも平均給与の低い周辺国の人から見れば魅力的な額に見えますからね。
かつて日本を“保護主義”と批判したのはアメリカではないですか?
アメリカ車が日本で売れないのは日本が高い関税をかけているせいだと関税を下げることを要求しました。そして今、アメリカは外国から輸入される車に高い関税をかけると言っています。笑止千万、勝手なことを言うなと言いたい。
かつて他国を保護主義だと批判をし、その国に身を削る様な要求を飲ませながら、それでも自国の経済が好転しないとなると臆面もなく自国が保護主義に走る。あまりにも勝手すぎます。
そもそもアメリカの自動車会社は日本で車など売る気が無いのです
関税だ 商習慣だと 日本が不公正だからアメリカ車が日本で売れないのだと自国民に印象付けて日本車の排除を正当化させようとしているだけです。
(何方かがおっしゃられていたことですが、出典を示すことができません。申し訳ないです。)
貿易摩擦が問題になった頃、日本のメーカーはアメリカに工場を作りました。日本国内の雇用を削って。そして、今度は日本車がアメリカで製造されていても排除されようとしています。それをも排除しようと言うのなら それはもはやアメリカ国民の雇用を守るためですらない。それはアメリカ資本の自動車会社、ひいてはその幹部
(いや患部と言うべきか?)を守るためでしかないのだと思います。
保護主義に走るならそれも結構
他国には大国
(それが国連で拒否権を持つ国ならなおさら)の保護主義を止める手立てはありません。その国の大統領、首相は自国の国民にウケのいい政策を打ち出せば安泰でいられるでしょう。しかし、それが将来良い結果をもたらすかどうかは判りません。
経済全体とは鈍重なものです。また、世界の経済は繋がっています。自国の政策が思わぬ形で跳ね返ってくるかもしれません。後年に「あの保護主義運動が国を傾かせてしまった」と言われる様になるかもしれません。しかし、それは我々の知ったことではありません。それが民主主義。その国の国民の選択です。
保護主義に走る国の人達に言っておきたい。世界中から集めた富を世界に返しなさい。世界中から集めた富を抱えたままでいるのは許されません。たとえ自国の経済に陰りが見えたとしても 富を独り占めした国には世界を養う義務があると思いますよ。
(困ったことに どちらかと言うと日本も富を集めていた方なんですよね~。)
大きな動乱もなく世界が安定すると富や権力が固着してしまいました
それらは既に大きな富や権力を持つものがさらに強大になることを容易にしました。より強大になるものがあれば 立場の弱い人はより弱くなります。立場の弱い普通の人が真っ先に影響を受けることになりました。しかし、国とは普通の人の集まりです。普通の人が弱れば国力も衰退します。
過去から現在に至るまで、世界の中心と言われる国がありました。それは時とともに移り変わって行きました。スペイン/ポルトガル、オランダ、イギリス。かつて大国と言われた国が衰退していったのは国の安定が長く続き、一部の権力者、有力者が
富を独占し続け普通の人が皺寄せがかぶってしまった為かもしれません。
(この発想の元はトマ・ピケティ氏の論理です。……いえ、僕はトマ・ピケティ氏の理論のことは何も理解していません。ほんのさわりだけの聞きかじりです。)
もしかしたら 今、世界の中心がアメリカから移ろうとしているのかもしれません。次の世界の中心は中国? 国連中心の合議制? それは誰にも判らないと思います。世界の中心と言われる国の交代もまた引き波なのでしょう。
2017/06/16