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WISC−Vの検査結果から
   同時処理の強い子の場合4
 



 同時処理が強い子の場合、次のような同時処理型指導方略が有効である。
 
 全体をふまえた教え方
  指導のねらいの本質的な部分を含んでいるような課題を初めから提示する指導
 全体から部分へ
  複数の刺激を一つのかたまりとして初めからいちどに提示し、刺激全体をとらえさせてから細部へ移行させていく指導
 関連性の重視
  提示された複数の刺激間の関連性に注目させる指導
 視覚的、運動的手がかり
  視覚的、運動的手がかりを用いて課題解決を図る指導
 空間的、統合的
  空間的な手がかりを用いたり、統合的な手法で課題解決を図る指導

         (「長所活用型指導で子どもが変わる」図書文化から)

 この同時処理型指導方略を使いながら、国語の教材「ごんぎつね」の内容を理解していく場合の「一例」をまとめると、次のような指導展開が考えられます。

 全体を音読したあと
 挿し絵を視覚的な手がかりとして見ながら、登場人物のごんや兵十がなにをしているのか話す。
 その際、「だれが」「いつ」「どこで」「何をした」という視点でまとめていく。
 ごんぎつねにでてくる「順番や時間の経過を表すことば」に線を引かせて、
  「いつ」の問いに応答させたい。
 順番や時間の経過を表すことばと挿し絵の関連性を手がかりに、
  その文を並べて「ごんぎつね」のあらすじをつかむ。
 
 挿し絵ごとにまとめた文章を提示し、読む。
 
 場面ごとに音読する。
 ごんの行動を動作化することで理解を深めたい。。
 
 たとえば、
 兵十がいなくなると、ごんは、ぴょいと草の中から飛び出して、びくのそばへかけ付けました。ちょいといたずらがしたくなったのです。ごんは、びくの中の魚をつかみ出しては、はりきりあみのかかっている所より下手の川の中を目がけて、ぽんぽん投げこみました。どの魚も、トボンと音を立てながら、にごった水の中へもぐりこみました。
の場面の音読後に
 「ごんは、どんないたずらをしたの?」と問います。

  ・ ごんの動きを動作化することで、たまたま思いついたいたずらであったこと
  ・ 川の流れを説明することで、その魚は二度と捕まえることはできないこと
   を理解させたい。

 「ごんはいたずらをしているとき、どんな顔をしていたかな?」(表情絵から選ぶ)
 「兵十はごんのしたいたずらをどんな風に思うだろうか?」

と問い、つづけて音読する。
・・・兵十が、向こうから、
 「うわあ、ぬすっとぎつねめ。」
とどなりたてました。

  ・ 次の文とくらべて、兵十はごんのしていることにおどろき、腹を立て、許さないと思っていること
   兵十が、向こうから、「ぬすっとぎつね」とどなりました。
  ・ このことから、ごんのしていることは、いたずらで片付けられる程度のものではなかったこと
   を理解させたい。

 ごんの行動を「なぜ」と問うことで、全体から部分へと読みをすすめていく。
 各場面のことばが物語全体の中でどのように関わっているのか文章構成図を作っていきたい。
 「ごんぎつね」の全体をふまえたあとに、主題に関わる質問をし、読みを深めていきます。

 ごんは「おれと同じ、ひとりぼっちの兵十か。」と思いますが、
  だれが一人ぼっちだと気づいたのか?兵十なのか?ごん自身か?
  本当に兵十は一人ぼっちなのか?
  ごんの思いは兵十に伝わったのか?