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 WISC−Vの検査結果から 3
  −Y児の場合−



Y児の実態

検査結果からY児のプロフィールがまとまってきました。
次にすることはそのプロフィールと実態を比較照合することです。

Y児の実態は、親御さんからの情報、担任からの情報、検査時に見られた様子などをまとめてみます。


 1年生男児である。

 親御さんからの情報
  ・落ち着きがない。
  ・出したら出しっぱなしで、片付けようとしない。

 担任からの情報
  ・机の周りに、一度出した教科書やノートやえんぴつが落ちている。
  ・机の中には、以前渡したプリントがはいっている。
  ・マスの中に字がおさまらない。
  ・くりかえし練習することを嫌がる。
  ・ひらがな、カタカナを習得しきれていない。
  ・とりかかりが遅く、まわりの友だちがしおわったころからはじめだす。
  ・一つの課題をしおえるのに時間がかかる。
  ・こくごやさんすうの授業の理解はできている。
  ・授業中に席をはなれ、立ち歩くことがある。
  ・友だちとのやりとりが苦手である。
  ・整列時に、自分の場所がわからないときがある。

 検査時の様子
  ・指示には対応できるが、同じ指示をくり返すことがあった。
  ・質問にも応答できるが、単語での応答が多かった。

※ ここにまとめたY児の実態は、自分が想像したもので、Y児は実在しません。


Y児の実態と検査結果から

このY児の実態の原因をWISC-Vの検査結果からわかることからさぐっていきます。


 非言語的推理や計画能力、収束的思考、社会的理解が弱いために
 「今は何をするときなのか」理解できずに、
 1時間の見通しが持てないで、
 落ち着きがなく、授業中に席をはなれたりとりかかりに時間がかかっている。

 空間視覚化や視覚的系列化、視覚運動の協応が弱いために、
 マスに字がおさまらなかったり、
 自分のものの管理ができないでいる。

 社会的理解や常識が弱いため、
 友だちとのやりとりが苦手である。
 と考えられます。

そこで、つぎのように取り組むことで、問題の改善をはかっていきます。

仮説1
簡単な言語の指示と課題を板書すること
課題を見せておくことによって
見通しがもてて、集中しやすくなるだろう。

仮説2
給食袋や体操服の入った袋の置き場所を決め、
お道具箱の中に入れておくものや机の中に入れておくものを図で掲示すること、
学習や活動のおわりに整理の時間を取ることによって
自らが整理していくだろう。

仮説3
ひらがなやかたかな、漢字の練習で4マスを使って書くこと、
文字を書くこときに「たて、よこ、たて、くるん、」というように言語化することで、
文字の習得をはかる。

仮説4
全体的情報処理を使い、学習の補充をしていくことで、
学習内容を確実に理解できるだろう。


          

  検査結果から1  検査結果から2