言語性を伸ばす指導
教科書を使って1
一部ことばだよりの記事を再構成したものです。
学期 1年上の教材 指 導 内 容 一
学
期みんな なかよし
「あ」「い」「う」「え」「お」「か」「し」「た」「な」「ま」「み」「よ」「ん」のひらがなからできています。
ひらがな文字のあ〜わ行の10行のうち、「あ」「か」「た」「な」「ま」の5行のあ列の文字がでてきます。
この行の発音は、早い時期に獲得される音です。
音読することで、この発音を獲得しているか、発音に誤りがないか確認します。
この部屋にはいろんな物が置いてあるね。
めがねをかけている子は、誰かに似ているね。
1年○組の友だちかな?
みんな何を見ているのかな?
この地図には何が描いてあるのかな?
みんなで何か話しているよ。
と問いながら、話しながらイメージを広げていきます。
つづいて、母音のひらがなとその口形がでてきます。
そして、母音が語頭につくことば集めをしています。
そのことばには、入学前にやっと獲得されるラ行の音、サ行の音、チ音、ツがでています。
読むことで、その発音を獲得しているか、発音に誤りがないか確認します。
挿絵を見て、
なにが見えた?と問い
みえた みえた
〜
具体物の名前に 特徴や属性をつける。
《事物+事物》
《所有者+所有物》
《大小+事物》
《色+事物》
あいさつ
あいさつことばの視写
「いってきます」「いってらっしゃい」
「おはよう」「おはようございます」
「いただきます」「ごちそうさま」
「さようなら」
「こんにちは」
「ただいま」「おかえり」
「おやすみ」
「だれが」「だれに」言っているのか?
あいさつのことばは、時間や場所、相手により変わります。
人と別れるときに「ばいばい」といいながら、大人が子どもの手を持ってふります。
やがて、子どもは「バイバイ」の意味と動作をつなげて理解し、獲得していきます。
「ちょうだい」と手を出されると、自分が持っているものを渡します。
渡された大人が「ありがとう」と言って頭を下げます。
「ちょうだい」と手を出すこと、「ありがとう」と頭を下げることをつなげて理解し、獲得していきます。
挿し絵では、家を出るとき、学校に行くまで、学校で、帰るときと時間がすぎていき、場所、相手も変わっていきます。
ここでは「いつ」「どこで」「だれに」どの「あいさつのことば」を言うのか、応答すること、書きことばで表現することを課題にします。
学校に行くとき○○さんはうちの人になんと言って出てきますか?
同じクラスの子にあったよ。なんと言いますか?
・・・
家に帰ってきました。家の人になんと言いますか?
挿し絵を指差しながら、子どもの答えを待ちます。
○○さんが答えたのがあいさつというんだよ。
と教えます。
その後に、
「いってきます」は「いつ言いますか?」
と逆から問います。
みんなで とんだ
2語文の「だれが」「どうした」、「なにを」「どうした」または「色名」「ものの名前」という語連鎖《動作主+動作》《色+事物》《所有者+所有物》《大小+事物》をおさえ、話しことば、書きことばで表現することを課題にします。
音読後、挿し絵を見ながら
「だれが とんだの?」「かえるが どうしたの?」「なにを みつけたの?」
と問います。
その後、動作化させます。
「ぼくが、とんだ。」と書き、
「なにをみつけた?」と問い
見つけたものを
「みつけた みつけた」
につづけて書きます。
この後に自分も跳んで、「せんせいが とんだ。みつけた みつけた。」と書いたのを読み、
ホワイトボードの上に載せておいた「あかい えんぴつ」を手にもち、
「あかい えんぴつ」と話します。
「ぼくが とんだ。みつけた みつけた。○○○。」
「せんせいが とんだ。みつけた みつけた。あかい えんぴつ。」
みつけたよ
3語文の「どこで」「なにを」「どうした(みつけたよ)」という語連鎖《対象+動作》《どこで+対象+動作》をおさえ、話しことば、書きことばで表現することを課題にします。
挿し絵を見ながら、
「なにをみつけたのかな?」
と問い、答えた生き物を
カードに書いた「をみつけたよ」につなげます。
そして
「どこでみつけたのかな?」
と問い、答えた場所を
「○○で□□をみつけたよ」
と文にします。
いくつか練習して、書かせます。
まほうの はこ
「はこが あります。○○がやってきました。はこから □□が とびだしました。」という文章がくり返されています。
○○の好きなものが、箱の中からとびだしてきます。
○○とはちがう人が、目の前の出来事を説明しています。
箱のある場面の理解と物と物、人と物、動物と物を関連付けて考えること、「あります」と「います」のちがいを理解し、表現することを課題にします。
はじめの部分をまねして、
「はこが あります。せんせいが やってきました。」 《動作主+動作》
と書いて、
「はこからは、せんせいの すきなものが とびだすよ。せんせいは あまいものが すきです。」
と話します。
「はこから あまいものが とびだしました。」
と書きます。
あいうえおの うた
関連づけて、表現することを課題にします。
「あいうえおの うた」を読んだあと、関連のあることばをならべて、まね作文を書きます。
あかい あめが だいすき あいうえお
ありは あめが だいすき あいうえお
いぬが いっぴき あいうえお
うしが モーモーと なく あいうえお
えのぐで えがおの えを かく あいうえお
おさかな およぐよ あいうえお
おいしい おかしを たべます あいうえお
おおきい おかしを たべます あいうえお
せんせい あのね どうぞの いす
うさぎがいすを作り、木の下に置く場面からはじまります。
そのいすにろば、くま、きつね、リスがやってきて話は展開していきます。
そして、再びろばといすの場面になり終わります。
この展開を読み取ることと、つなぎことばの「て」「と」を理解し、表現することを課題にします。
うさぎの場面ろばの場面、そしてろばの場面を読みます。
「はなが いちごに なっている。なぜかしら。」
とおどろいています。
ろばのこのことばを手がかりに展開を読んでいきます。
音読後
「だれがなにをどうした。」
を問います。
《動作主+対象+動作》で答える。
ろばさんは いすに かごを おろして、ねてしまいました。
この文を読み、書いた後に、書いてある順番に問います。
だれは いすに かごを おろしましたか?
ろばさんは なにに かごを おろしましたか?
ろばさんは いすに なにを おろしましたか?
ろばさんは いすに かごを どうしたのでか?
ろばさんは いすに かごを おろして、どうしましたか?
と問います。
さらに、逆にも問います。
いすに かごを おろして、ねてしまったのは だれですか?
と問います。
「ろばさんは 二つの動きをしているね。
「おろしました」という動きと「ねてしまいました」という動きを一つの文にしているね。
二つの動きを「て」でつないでいます。」
ほかにもないかな?とさがさせてみます。(これは難しいですが・・・)
2003.2.20
した こと おしえて
「なにで」「なにを」「どうする」の語連鎖《手段+対象+動作》で表現することを課題にします。
挿し絵で練習した後、とくに「どうする」のことばを想起させたいときは、
せっけんで てを どうしますか?
ハンカチで てを どうしますか?
はさみで かみを どうしますか?
クレヨンで えを どうしますか?
クレヨンで いろを どうしますか?
あみで むしを どうしますか?
絵カードを見せて、「どうする」のことばを問い、使い分けることを意識させます。
2003.2.20
だいじな たまご
「どうして〜のでしょう。」の問いには「・・・ためです。」の答えることを理解することを課題にします。
どうして つばめは たまごを のきしたに うむのでしょう。
どうして いしがめは たまごを ひあたりの よい ところに うむのでしょう。
どうして あげはは たまごを みかんの きのはに うむのでしょう。
と問います。
子どもは
あめなどから まもる ためです。
たいように あたためてもらう ためです。
ようちゅうが はを たべて おおきくなるようにする ためです。
と答えます。
おはなし なあに
4つの場面が展開します。
展開を表現することと、「あげる」「もらう」を理解し、表現することを課題にします。
4番目の絵を見て、
「なにを」
うさぎは くまさんに なにを あげますか?
ぶたは くまさんに なにを あげますか?
きつねは くまさんに なにを あげますか?
「だれに」
うさぎは だれに アップルパイを あげますか? ・・・
「だれは」
だれは くまさんに アップルパイを あげますか? ・・・
「どうする」
うさぎは くまさんに アップルパイを どうしますか? ・・・
「文でお話ししてみよう。文で書いてみよう。」
うさぎは くまさんに アップルパイを あげます。
ぶたは くまさんに アップルジャムを あげます。
きつねは くまさんに アップルジュースを あげます。
「こんな言い方もあるよ。」と
くまさんは うさぎに アップルパイを もらいます。
と提示し、
くまさんは ぶたに なにを もらいますか?
くまさんは きつねに なにを もらいますか?
と問い、「あげる」「もらう」の関係を理解させます。
くまさんは ぶたに アップルジャムを もらいます。
くまさんは きつねに アップルジュースを もらいます。
おおきな かぶ
変化しながら、「〜をひっぱって」とくりかえし表現されています。
挿し絵を見て、表現できることを課題にします。
音読します。
挿し絵を見ながら、
だれがだれを呼んできたのか?
だれがだれをひっぱったのか?
を問います。
変化しながらくり返される表現を読み取らせ、挿し絵を見ながら表現します。
だれをだれがひっぱたのか?
と問い、語順が変わっても、イメージする場面は同じであることを指導します。
《動作主+対象+動作》
《対象+動作主+動作》
最後に「けれども」「それでも」「まだまだ」「とうとう」につながることばを問います。
ほんを よもう 二
学
期おもしろかった こと ぶどう たのしかった こと
おおきなかぶの表現に
「あまい あまい かぶに なれ。おおきな おおきな かぶに なれ。」
あまい、げんきの よい、とてつもなく おおきい かぶが できました。
とあります。
これをまねして、あさがおの種を植えるとき、あさがおがどんな花を咲かせたのか、作文を書く。
かんじが できた
挿し絵には、物の形から漢字までの変化が段階的、継次的に示されています。
継次処理が強ければ、この挿し絵を見るだけで理解できそうです。
しかし同時処理の強い子には、これだけでは足りません。
漢字カルタをすることで補います。
そして、くりかえし練習します。
2003.2.20せんせい よんで