ふとこんなことを思い出しました。
確か、数年前の6月の最終の日曜日のことです。平群の友人から七夕さん用の竹を頂くために、4WDの車に乗り込もうとした時、孫が車の下にいる野良猫を見付けました。
私は、猫が大の苦手で、猫を見ると何ともいえぬ恐怖心が湧きます。というのは小学校のとき、近所のお姉ちゃんに入江たか子さん主演の鍋島騒動「猫化け」の映画を見に行きました。というより無理矢理連れて行かれました。嵐の夜、入江たか子さんが行灯の油をぺろ、ぺろと舐めながら、口が大きく裂けた猫に化けて行くその顔が猫をみるとダブってまいります。情けないかな、還暦を過ぎた大の大人がいわゆる「猫トラウマ」です。
さて、件の車の下の野良猫は、どける気などさらさらなさそうな居心地の良い顔で居座ったままでしたので、「エンジンを掛けると出ていきよるやろ。」と思い、エンジンを駆けましたが、どける気配なし。孫が威嚇すると、反対に歯を剥き出しにして、逆切れされ、どうすることもなく、諦めて家内の車で竹をもらいに行きました。
帰宅して、「例の野良猫は?」と、車の下を覗くと、木枯し紋次郎よろしく「あっしには関わりはござんせん。」とばかり、素知らぬ顔で、目を閉じ、猫のタヌキ寝入り。
我が家は、大の動物苦手家族なので、野良猫が居座ってしまえば、大変なことで、勇気を振り絞り、もらってきた竹で追い出しました。
ほっとしたのはその時だけで、翌朝、車の下をそっと覗いてみると「借りてきた猫」のごとく、お行儀よく、「猫をかぶって」知らんふりをしてそこにいるではありませんか。そこで、「いるのなら、いつまでもそこにおりなさい。でも、餌はやらないよ。」と逆、逆切れ。その野良猫は、その後も居座って、転居の気配がなく、車の下を住居にしていましたので、それから1週間後の七夕の短冊には「野良猫さん、出て行って。」と書いて、七夕さんに願掛けしました。その年の7月7日は、仏滅でしたが、その願いが叶ったのか、野良猫は、いつの間にか引っ越したようでほっとしました。
我が家の冷たい仕打ちに愛想をつかしたのか、その猫は、どこへ行ったやら、その後は一度もお越しにならないので、動物愛好家の方からは、お咎めを喰らうでしょうが、動物と馴染めない者にとっては、一安心です。
七夕さん、ありがとう。
小原クリニック Chon先生
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