医療法人 小原クリニック 泌尿器科,内科

スマホ社会の落とし穴―メディア漬けで危ない子供たち

 

  約一月前、三郷中学校の父兄の勉強会で「できれば現在のスマホを含めたIT関係のお話など」という要請があり、全く未経験分野ではありましたが、種々の情報を検索し、このようなタイトルで父兄会にて講話しましたので、その内容を掲載します。


はじめに
・血縁(血のつながりの縁)、地縁(住まいのつながり)
 ・古来より、血縁、地縁といった人間関係で人類は成長。
 ・近代社会でも学校、サークルなど顔の見える環境で発展。
 ・フランス哲学者のブレーズ・パスカルが「人間は考える葦である」と述べたように、
  考える葦とは言い直せば、「言葉」。
  こので人とのつながりを継続し、猿、類人猿、そして人間と進化。
 ・勿論、現在の人間と進化したのは言葉だけでなく、火などの道具の発見も。

・ホテル家族、ネット縁
 ・核家族化がさらに進行し、それぞれが個室で過ごす時間が増加。
 ・このような限られた人間のみでのつながり社会がスマホやタブレットの出現で、
  いわゆる「ネット縁」で一人一人がつながる。
 ・言い換えれば、お互いの顔が見えない。よって、お互いの温もりを感じられない。
  いくらface timeで顔を見合わせていても。
 ・小原の格言:便利さと、人間の自由と個性とは反比例する
 スマホは確かに極めて便利だが、人の行動を制限し、思考能力を退化させ、
 さらには、得てして、個性までも埋没させる。


言葉、会話
・言葉は、教えなくても自然と身につく。
 ・乳幼児期の家族など身の回りの人間からの語りかけで獲得。
・目は口ほどに物を言う:会話は、人の温もり、手触り、目や口といった
 顔の表情を伴なっており、目を見るだけで相手の怒り、喜び、訴えなどが伝わる。
・しかし、スマホは口ほどに物言わず:人間同士の意思の伝達は、文字のみの伝達で、そこには表情はない。
・顔の見えないスマホ会話は、血縁、地縁が希薄に。このような環境が進行すればするほど、
 子供の成長、発育、特に情緒が身に付かなくなる。
・2018年の厚労省は、病的IT依存の疑い中高生は7人に1人、93万人に及び、5年前に比べ倍増と報告。
・視力の悪化、学力の低下も報告。


発達
・骨、筋肉など体幹の発達
 ・子供の頃の外でのお遊びが骨格の発育を促す。
 ・骨の強化にはビタミンDが必須で、このビタミンDが日光で活性かされ、強い骨となる。
  ・子供の頃に蓄えた骨格が老齢期までの貯金となる。
  ・近年、子供達の骨格の強さに危険信号:転びやすい、浮き指など。
  ・ロコモティブ症候群は、主に加齢に伴う骨格の虚弱化。でも最近の報告では、
   子供たちの運動器機能の低下に伴い、この症候群の小児が増加。
  ・体幹のバランス維持低下に伴う転倒、骨折、移動能力の低下を警鐘。
  ・この傾向がネット縁社会の進行に拍車をかける。いわゆる、悪循環。

・視力などの五感
 ・2016年度の文科省による学校保健統計調査では中高全生徒で視力低下が過去最高
  ・1970年代テレビの普及が人の視力低下の始まり。
  ・視力は小学校入学時には大人レベルに成長。
  ・目の発達は、1日最低2時間屋外で陽の光を浴びることが必須。
   勿論、直射日光でなくても日陰でもよい。
  ・日光だけでなく、遠くを見ることが目を成長させ、さらには焦点を調節する筋肉の成長を促す。
  ・IT機器のLEDのブルーライトは網膜の変性をきたし、視力低下させ、
   さらには最近よくマスコミで騒がれている黄斑変性につながります。
  ・自然に接することは、目の成長のみならず、聴力、触覚、嗅覚などの感覚を研ぎ澄ませる。


以上より、大人にも言えることですが、
    外遊びは、すべての面で子供の成長に大きく関与します。
言い換えれば
    スマホなどIT機器に身を委ねる子供達には、極めて方向違いの成長に
    迷い込むこととなる危険性をはらんでいます。

それじゃ、公園でスマホ、タブレット遊びでは?
    日光にこそ当たれど、場所が家から公園に移動しただけです。


・ファビング(phubbing)という言葉を聞いたことありますよね。
 ・phubbingとはphone(音、響き)とsnubbing(冷遇)との造語。
 ・ファビングとは、ITだけ見て、目の前の人の顔(目、口)を見ず、相手を無視する行為。
 ・目黒富士銀行事件もファビング。
 ・人間同志の出会い、交流、共同作業、さらには、恋愛といったものは
  人間の人格形成に大きな影響力を持っている。
 ・ファビングつまり人の顔よりスマホの画面を優先されることが
  当たり前の感性が小児期に形成されるとどうでしょう。
  人を愛するといった極めて、人間社会での当たり前のことが無視され、頓挫してしまいます。
 ・すでに2016年シンガポールでは、親子でのファビングに警鐘を。


ここまでのまとめ

・血縁、地縁の利点を取り入れ、ネット縁の欠点を排除しましょう。
・子供の成長には、日光が必須で、乳幼児は少なくとも1日2時間は外遊びを。
・ファビングは、少なくとも、家庭ではやめましょう。



スマホ社会から子供たちを守るためには
・スマホ、ネットゲームの長時間接触による問題点と危険可能性
 子供たちに「どうしてメディア対策を実施せねばならないのか」を伝える時に、
 次のようなことを強調し、危険感を持って下さい。
  1.生活リズムの乱れ
  2.学力の低下
  3.外遊びの減少による筋力、骨強度の低下
  4.視力低下
  5.自己コントロール能力の低下
  6.言葉の力、コミュニケーション能力の低下
  7.体調不良
  8.いじめなどの人間関係トラブル
 メディア漬けの生活から子供たちを脱出させるための
      アウトメディアへの取り組み
  を。

・教育現場でのスマホ、メディア対策
 学校や教育を施す立場の関係者のせねばならないこと
 ・実態把握
  1.子供の1日の過ごし方
  2.メディアとの接触時間
  3.ゲームに接している時間
  4.屋外生活時間
  5.学習、読書時間
  6.起床、就寝時間
  7.視力調査

・メディア対策の必要性
 危機意識に役立つ調査の実施
  1.文科省や自治体の学力調査データ
  2.体力、運動能力の推移データ
  3.不登校の率と実数
  4.学校保健統計調査(視力低下を来している子供の把握)
  5.スマホを含めたIT機器の保有率
  6.児童生徒の暴力数
             など
 問題意識を共有し、危機感を持つための話し合いの内容は教職員だけでなく、校外の関係者にも伝える。


・メディア対策づくりにおける役割
 ・校内管理職
  ・メデイア対策のリーダーシップ確立
  ・情報収集における管理、責任を配置
  ・校内外の取りまとめ役の配置
  ・教員委員会、地域との連携と連絡

 ・擁護教諭、担任ほか教職員
  ・メディア(ネット)リテラシー(認知度)の追求
  ・子供の状況把握
  ・家庭(保護者)との情報連絡
  ・アンケーチや実態調査の資料作成と配布
  ・問題行動のある子供への個人指導(生活面や学習面など)

 ・PTA関係者
  ・学校教職員と協力して保護者への啓発運動とそのリーダーシップ
  ・学習会、勉強会、講演会などの実施

 ・学校医、保健師
  ・子供の発達、発育に対して必要に応じた情報提供
  ・専門家の立場からの情報分析とアドバイス
  ・個別指導の支援


以上が私の準備をした内容です。
最初に申し上げましたように、私は、この分野での専門ではありません。
よって、間違いや言及不足が避けがたいことは、ご了解いただきたく存じます。申し訳ございません。
ただ、以上述べましたことは、子供らしい子供に成長し、所謂、人の気持ち、心の機微を理解できる
大人になっていただくことを切望します。
学校医として、そのような大人になってもらうためには、医療のみならずメンタルな面での協力も
大きな責務です。

  読者の方にとって、参考になれば幸いです。

                            小原壮一



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