南竹 Nanchiku
江戸時代の絵画、書、和歌、俳句、古文書
Since December 23, 2015

< 判曰さふらひは Life of Samurai >

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判曰さふらひは Life of Samurai.

ここは独立した所で元三大師御籤諸鈔下という本の武士の項の解説です。御籤(おみくじ)は100章からなっており順次掲載してゆきます。江戸時代後期の武士の心情などがよく書かれており、武士とはかならずしも気楽なものではなかったことがわかる。書き出しの「判曰」とはみくじの判断(judgement)が曰く(いわく)の意味。
本なので字は大変読み易く特にかなの形が自然に頭に入る。文は短く読む調子が大変よいので楽しめる。本の元の所持者は中江五郎兵衛。近江国蒲生郡奥島村(現滋賀県近江八幡市島町)の人で、ここは琵琶湖東南岸の文字通り島だった。杉本玉淵堂は京都の書店で1812年=文化9年頃以降活躍した。

文書番号とタイトルの一覧

●3D効果をマウス動作で見せるcssアニメーション
Roman Cortes氏の遠近感あるcssアニメーション3D-Meninasを勉強し改変したものを作成した。中の画像はすべてNew York Public Library所蔵のposterで使用は許可されている、感謝して使わせていただいた。古い雑誌の表紙は大変美しい。
http://www.romancortes.com/blog/css-3d-meninas/
New York Public Libraryのサイトはhttps://digitalcollections.nypl.org/collections


●3D効果をマウス動作で見せるcssアニメーション 続編
これは2階から1階へ段々降りてきてポスターを見ている像である。美しい中の画像はNew York Public Library所蔵のposterで感謝して使わせていただいた。
New York Public Libraryのサイトはhttps://digitalcollections.nypl.org/collections


●立ち位置を動いて対象を見るcssアニメーション
位置を動いて対象を見ている像なので、やや立体的にみえる。外枠は撮影して中央を透過にしたもの。上のstartボタンをクリックして下さい。下のスクロールバーをスライドさせても動く。有名なRomán Cortés氏のcoke-canのアニメーションから改造したもの。

 

●#25. 御籤九十三 艱難困窮を漸に免がれたる体 急に調がたししばらく時節を待べきなり
93番。「艱難困窮で不幸になりかけたがどうにか免れた。しかしまだ障があり急には調わず時節を待つべきである」。「吉」である。この本ではこのように急がず待機するようにというものが多い。

●#24. 御籤九十二 今迄いろいろと心落着す苦労ありても 今よりして万端首尾好次第
92番。「今迄は多くのことに心が落ち着かないし苦労もあったが今後はすべて首尾よくなる」。「吉」である。

●#23. 御籤十九 物事に障り多く出来て 家内散々に別れはなるる事あるべし
19番。「物事に支障が多く出来、家内の者が散々に別れる事があるかもしれない。神仏に祈って難を免れる」。「末小吉」である。よいことが書いてあるが、逆境では自力本願でできる事は実行してそれから神仏に祈る事である。

●#22. 御籤十八 物事しゆびよくさらりさらりと 埒あくかたちなり
18番。「物事が思った通りにさらりさらりとうまく行く」。「吉」である。そのようにあっさりとうまくゆく時は物足りない気持になることがある。それよりこうでもないああでもないと実験して法則を見つけ成功した時の方がうれしい。

栞20 

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●#21. 御籤十七 くせつさいなんにあひ 善と思ひてする事もあらき事に成る
17番。「苦節災難に会ってよかれと思ってすることも裏目に出る」。「凶」である。 人生よいことばかりではない。つらいときは別の事に心を紛らわせばよろしい。時間が解決してくれる。

●#20. 御籤十六 さふらひは知行の加増を得よき役付等あり 前途喜びと平安あり
16番。「侍は知行の加増あり、よい役付もあり。正直で信心あるべし」。漢詩ではさらによいことばかり書かれているが総合は「吉」である。

●#19. 御籤八十九 玉を琢磨するがごとく油断なく骨を折は 遂に成就する也
89番。「侍は出世がおそい。心立が悪いと立身なし。瑕なき玉とは皆持っているものであるが私欲に覆われると輝かない、ついに瓦石になる。研磨して翳をなくすことが大切。油断なく骨を折れば遂に出世する」。漢詩にはさらに「高位の人に遇って存在を識られる」が加わる。大吉である。玉を琢磨することが大事。

●#18. 御籤八十八 我意を立ず人に随ひ 専ら人和を求てよし
88番。「侍は慎みが大事。何事も自分の思いを通さず人に随てよい。自分の道理は曲げるべし。こうすれば害を免れる」。人に従ってよいと説明する。これは漢詩では大変悪いみくじでである、悪いことや危ない事が続いて起こり何度も悩むとある。

●#17. 御籤四一 家内おたやかならず困窮して身上半分もへる 仏神に祈りて安穏なるべし
41番。「立身出世のてがかりはあるが自分には廻って来ない。財産を半分減らすような事がおこりやすいので注意。家内は火事、災難、病人、言い争いがあって穏やかではない。仏神に祈って禍を免れ平静になる」。武士とはあせらず時を待つことが大切。

●#16. 御籤四十 諫めを能用ゐて身の行ひを改め 禍ひをまぬかるべし
40番。「立身出世できる人柄なのだが、不相応な大望や悪い人に引かれて身を誤るかも知れない。諫める人に従えば矯正してよくなる」。漢詩も同様な文である、諫める人を薬や煎じ薬に例えている。

●#15. 御籤十三 物の頭と成権威を司る意あり 威勢盛んにして立身するなり苦労は多かるべし
13番。「武士は加増、役替あり立身出世ある。物の頭となり権威を司る。苦労は多いけれども人々に敬われ威勢盛んである」。大変よいみくじである。しかし他より秀でて雲の上に登ることは苦労が多いことと書かれている。最後は油断すると雲へ通じる梯(かけはし)から落るので注意。雲梯:雲へかけ渡した橋。

●#14. 御籤十二 加増役替等ありて立身出世あるべし 浪人はありつきするへし
12番。「武士は加増、役替あり立身出世ある。しかしその身に黄金の輝きがなければ出世しない。五常の道を行う君子の徳が大切である」。よいみくじである。

●#13. 御籤七十七 いまだ運命ひらけず万事滞り多く 誉を求んとすれば却て禍ひをまねく
77番。「武士はいまだ運命は開かれず栄誉を求めようとすれば災いを招く。又僅かの間違いから大きな患いになり友人と中違いとなる。慎んでよい」。「慎んでよい」これは侍にとってもっとも重要なことと多くのみくじにある。

●#12. 御籤九十八 愁事多かるべし 諸事差ひかへ身をつつしみてよし
98番。「武士は万事難しく心のままにならず愁事多い。差し控え身を慎んでよい。足ることを知って多くを願わず時を待つべきである」。退く時を知り遠慮することが特に武士には重要であったようだ。現代でも年齢が高くなれば無理に気張るのは要注意である。

栞10 

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●#11. 御籤九十九 立身出世し四方に名をしられ 富貴思ひのままなるへし
99番。「武士は上司の恵みを受けて立身出世し四方に名を知られ富貴になる。しかしもしか才能に驕り高慢心あれば禍ができる」。この本には稀な大変よいみくじである。

●#10. 御籤六十一 我実意顕れず心欝々として娯まず 弁舌よき人又出頭人を頼てよし
61番。「武士はふとした過ちかまたは讒者の言によって誠意が表に顕れず、埋もれ木となって憂いがあり楽しくない。この憂いは讒者を恨まず味方にして頼めばよい廻り合わせになる。倒れた場所から起き上がる理である。また弁舌の勝る人か要職にある人に頼むのがよい」。みくじは自分の誠意が上に評価されずつらい、その時は自力を過信せず他人に頼めと書いてある。武士も苦労が多いようだ。「倒れたところで地によって立て」とは禅の言葉であるが、意味は難解で必ずしもここにある例を指すとは限らないようである。

●#9. 御籤七十六 天命に安んじ私のはからひなきときは 自然と立身あるべし
76番。「武士は天命に安んじて万事私的計らいが無い時は自然に出世する。私的才覚を出しては立身し難い」。つまり出世のためにがんばってもまあ無駄である。原則は世襲で将来の大方の予測は決まっているからね。

●#8. 御籤三拾三 尾羽うちからし命もたゆる程なりとも時至りて不図よき手がかりあり
33番。「武士はすでに危うく枯れてしまう所からよくなって立身出世する。浪人は尾羽打ち枯らし絶命の時を越えて後よくなる。月の光は見えるがまだすこし雲にさえぎられる。信心必要」。尾羽打ち枯らし絶命の極から蘇る。

●#7. 御籤三拾一 出頭人にて威勢つらき人ならば万事つつしみあり ひかへずはあやうし
31番。「武士は立身する。久しく出世のない人はここで良い事あり。浪人は有付あり。もしか貴人の側に出頭する人で周囲に威張れない人ならば慎みがありよい。一方物事を控えることをしない人は大変に危うい」。武士は貴人の側で威張れなくても慎み深く控える人がよい、「威勢つらき人」がよろしい。慎みなく威張り散らすのは危うい。若:もし。なかなか良い言葉だね。

●#6. 御籤八十七 勇剛の志をたもち艱難を堪忍び 始終変する事なくば終に本意を遂ぐ
87番。「武士は立身出世するが遅い。多くの辛苦を経てその功績で立身する。中で苦しく堪えかねれば志ほ遂げず。勇剛の志で艱難に耐え忍べば終に本懐を遂げる」。武士とは出世がなくても艱難辛苦に堪えて志を保つことで最後に青空と路をつかむ。

●#5. 御籤三 若心がけあしくして浪人せば 一生むもれ木となり朽果つべし
3番。「君のため忠を尽してもかえって主人の手前で悪くいわれることあり。これを怨まず忠を尽してゆけば終に立身する。もし心掛け悪く浪人すれば一生埋もれ木となり果てる」。なかなか厳しいね。

●#4. 御籤五十五 月星其所に位し乱れざる象に法り 人も五倫の道正しくして礼儀あり
55番。「立身加増あり。月星その位について乱れない。是君子は安きに居て危ういことをわすれている。みくじの句は阻害で滞るがあと再び栄えることを表す」。早稲田大学の元三大師御籤絵鈔の漢詩を引用させていただいた。天は誠を得た状態だが阻害のある事や再起、繁栄が書かれている。

●#3. 御籤百 日の地中に入たるごとく行さきくらくあれども 程なく夜の明るが如くよろこびあり
100番。「立身出世は遅く、それ故心くじけ世の中がつまらないと思う。知己を求めてもうまくゆかず常に憂いを抱く。今は日の地中に入った状態で暗いがその内夜が明けるように良くなる。しかしあせって知恵を巡らして出世を思うとよくない。待つべきである」。このような忍耐、辛抱を奨励する記載がこの本には多い。武士では積極的に動くことがよいことではないとされていた。

●#2. 御籤三拾四 役替加増の沙汰も聞へねば世中あぢきなきやう思ふ事ありとも
34番。「永年勤労しても甲斐なく上役や加増もないので味気なく思うだろう。しかし気をおとさないように。雪、霜に埋もれた冬の木が春になって再び栄えるようにやがて喜びがある。しかし消沈して気力がなくなり勤めがいい加減になるときは本物の枯木になって、春にも芽が出ることはないであろう」。喩えが大変面白く巧みである。まさに武士の勤めがよく理解できる文である。雪霜に埋もれた冬の木も待てばよくなるからきちんと勤めてがんばれ。意気消沈して気力がなくなったら再起はない。

栞 最後 

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●#1. 御籤廿四 悶へ気づかひ女色にまよひほださるる意
24番。「立身しにくい。浪人は有付しにくい。心は自由にならず他の事や女色に憑かれて自由がない。慎み信心がないと災禍を招く」。悶:密閉、圧迫され苦しい。能く:よく。武士も様々な支障によって出世もままならなかった。原則父の跡継ぎになればよしの時代である。佞奸は#390も参照。

<文書番号とタイトルの一覧>       上に戻る BACK TO TOP
#1. 御籤廿四 悶へ気づかひ女色にまよひほださるる意
#2. 御籤三拾四 役替加増の沙汰も聞へねば世中あぢきなきやう思ふ事ありとも
#3. 御籤百 日の地中に入たるごとく行さきくらくあれども 程なく夜の明るが如くよろこびあり
#4. 御籤五十五 月星其所に位し乱れざる象に法り 人も五倫の道正しくして礼儀あり
#5. 御籤三 若心がけあしくして浪人せば 一生むもれ木となり朽果つべし
#6. 御籤八十七 勇剛の志をたもち艱難を堪忍び 始終変する事なくば終に本意を遂ぐ
#7. 御籤三拾一 出頭人にて威勢つらき人ならば万事つつしみあり ひかへずはあやうし
#8. 御籤三拾三 尾羽うちからし命もたゆる程なりとも時至りて不図よき手がかりあり
#9. 御籤七十六 天命に安んじ私のはからひなきときは 自然と立身あるべし
#10. 御籤六十一 我実意顕れず心欝々として娯まず 弁舌よき人又出頭人を頼てよし
#11. 御籤九十九 立身出世し四方に名をしられ 富貴思ひのままなるへし
#12. 御籤九十八 愁事多かるべし 諸事差ひかへ身をつつしみてよし
#13. 御籤七十七 いまだ運命ひらけず万事滞り多く 誉を求んとすれば却て禍ひをまねく
#14. 御籤十二 加増役替等ありて立身出世あるべし 浪人はありつきするへし
#15. 御籤十三 物の頭と成権威を司る意あり 威勢盛んにして立身するなり苦労は多かるべし
#16. 御籤四十 諫めを能用ゐて身の行ひを改め 禍ひをまぬかるべし
#17. 御籤四一 家内おたやかならず困窮して身上半分もへる 仏神に祈りて安穏なるべし
#18. 御籤八十八 我意を立ず人に随ひ 専ら人和を求てよし
#19. 御籤八十九 玉を琢磨するがごとく油断なく骨を折は 遂に成就する也
#20. 御籤十六 さふらひは知行の加増を得よき役付等あり 前途喜びと平安あり
#21. 御籤十七 くせつさいなんにあひ 善と思ひてする事もあらき事に成る
#22. 御籤十八 物事しゆびよくさらりさらりと 埒あくかたちなり
#23. 御籤十九 物事に障り多く出来て 家内散々に別れはなるる事あるべし
#24. 御籤九十二 今迄いろいろと心落着す苦労ありても 今よりして万端首尾好次第
#25. 御籤九十三 艱難困窮を漸に免がれたる体 急に調がたししばらく時節を待べきなり

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