井上刃物 研ぎ専門店

井上刃物
 

 (はさみ・ハサミ)

鋏には、裁縫に扱われるものから、枝葉、さらに金物に用いられるものまであります。
そこからさらに細分化されていたりもするので、種類が多く、
研ぎ方がまるで変わったりもします。
裁ち鋏に植木鋏の研ぎをすると、間違いなく切れなくなりますし、
植木鋏に裁ち鋏の研ぎ方をすると、刃先同士が咬んでしまって使い物にならなくなります。

 

 料金

サイズや種類によって異なりますが、1000円~2000円、となります。
詳しい表記などは、ページ上部料金表に記しておりますので、
お手数ですが、そちらをご覧下さい。

 

 修復費

過度な傷みでない場合は、余分に頂くことはありません。
追加で掛かるのは、主に使用する砥石代によるものです。
鋏は交互に刃が合わさっている刃物ですので、一刃に対してとなります。

薄い鋏
(裁ち鋏・植木鋏など)
厚い鋏
(刈込鋏・株切鋏など)
裁ち鋏・にぎり鋏
カケ・丸み・歪み・裏刃の捲れ カケ・丸み・歪み・裏刃の捲れ スキ直し 
200~300円 500~800円 200~300円 500~800円 500円

スキ直しとは、裏側の刃を新しく作り直すことです。
裁ち鋏にぎり鋏などの和鋏は、裏側の刃が緩やかな曲線になっているのですが、
よく平面の砥石で研いでしまわれることがあり、ひどい状態のものになると、
曲線が失われてしまっています。
もちろん、切れ味は非常に悪く、生地や糸を巻き込んでしまったりもします。
通常の研ぎでも裏スキ【裏側の刃に、適切な曲線を作り出すこと】を行いますが、
スキ直しの場合、新しく作り直さなければなりません。
カケ・丸み・歪み・裏刃の捲れ(小)の目安は、
カケている部分が目に見えてわかる場合や、
研ぎによって丸み・歪みが生まれている状態です。
カケ・丸み・歪み・裏刃の捲れ(大)
大きくカケていたり、
研ぎによって傾斜が鈍角になり過ぎていたり、極端に歪んでいる場合ですが、
無理をして使い続けたり、使用途中で扱い難くなっている為、
そのような状態を見かけることは、ほとんどありません。

 

 実例

  裁ち鋏<小/全長240mmまで>【裁縫鋏】


 研ぎ前

数十年前の裁ち鋏です。
当店のことを知って下さったお客様が、『サビてますが、切れるようになりますか?』とお持ち下さいました。
全体的にサビていて、また間違った研ぎを繰り返されたことによって、裏側が過度に捲れてしまっていて、本来の形状をしていませんでした。
その為、切る際に布が刃と刃の間に挟まるようになっていました。



 研ぎ後

付着したサビを取り除いてから、裏側の刃の丸みを取り除く為に、鋏工場の砥石を使って裏スキ(裏側の刃に適切な曲線を作り出すこと)を新しく作り直した後、刃付けを行って仕上げました。
右下の写真の小さな粒のようなものが、サビによって浸食されていた部分です。
作り直すような研ぎでない限り、スキ直し代は掛かりません。

研ぎ代 1500+500(スキ直し)+500(スキ直し)=2500円
 
 刈込鋏<240サイズまで>


 研ぎ前

庭師様から預かりました。
樹木のヤニが付着していて、黒ずんでいます。
切れ味が悪くなったとのことで、大きな刃こぼれなどはありませんでした。



 研ぎ後

荒砥で下してから、中砥などの行程を得て、磨きを掛けた後、刃付けを行いました。
紙や生地ではなく、樹木の枝を切るもの為の刃物ですので、刃先同士が咬まないように、ひと手間、加えてあります。

研ぎ代 2000円
 
 植木鋏


 研ぎ前

ご自分で研がれていたようで、刃の形状が変わっています。
表側は過度な丸みを帯びていて、裏側も捲れるような形になっています。
鋏関係の刃物は、裏側を間違った研ぎ方をすると、鋏としての機能が失われて、切れなくなってしまうので、注意が必要です。



 研ぎ後

刃を止めているピンを取り外してから、裏側の捲れをなくして、表側の過度な丸みを取り除きました。
刈込鋏と同様、樹木関係の鋏ですので、その用途に合うように、刃付けを行ってあります。

研ぎ代 1200+200(丸み・裏側の修復)+200(丸み・裏側の修復)=1600円
 
 剪定芽切鋏


 研ぎ前

剪定鋏の先が、尖った形をしているものです。
ヤニがこびり付いて、さらに全体的に薄らとサビが回って、黒ずんでいます。
大きな刃こぼれはなく、ご使用によって切れ味が落ちた状態のものです。



 研ぎ後

ネジを外してから、表側と裏側の刃を研ぎ出して、ヤニとサビを落としました。
刃の片方は受け皿のような役目をしているので、角が丸くなっていると、枝に食い込み難くなりますので、角を立てるように研ぎ出してあります。

研ぎ代 1200円
 
 花鋏


 研ぎ前

屋外に放置されていたものです。
刃先はそこまで傷んでいませんが、サビが回っています。
それに加えて、刃が丸みを帯び過ぎています。
わかり難いかも知れませんが、研ぎによって、裏側の刃も捲れています。



 研ぎ後

ピンはネジ式ではなかったので、削って外してから、研ぎ上げました。
外したピンは新しいピンに変えてあり、かしめ鎚を使って、ピンをかしめて止めています。
花鋏も樹木関係の鋏ですが、華道など扱われる為、植木鋏、剪定鋏とは少し違った研ぎ方になっています。

研ぎ代 1200+200(丸み・捲れの修復)+200(丸み・捲れの修復)=1600円
 
 握り鋏<小>


 研ぎ前

年代ものの握り鋏です。
表側と裏側にサビが回って、切れなくなっています。
また、サビによって開閉し難い状態でもありました。



 研ぎ後

裏スキを行って、正確なアールを付けました。
磨きを欠けてから刃先を付けて仕上げました。
浸透したサビは取り除けませんが、これでもう一度、活躍してくれるようになりました。

研ぎ代 1200円
 
 植木鋏<長刃>


 研ぎ前

ご自分で研がれていたようで、刃先が丸まっていました。
刃先も切れ味が悪くなっていましたが、刃が丸く分厚くなっていた為に切り難くなっていたようです。
見た目ではわかり難いですが、裏側も捲れていました。



 研ぎ後

ネジを外してから、裏側を研ぎ出して、表側を平面になるように研ぎ上げました。
見た目ではわかり難いですが、
裏側には対象物(枝)が滑らないように、工夫をしてあります。

研ぎ代 1500+200(丸み・裏側の修復)+200(丸み・裏側の修復)=1900円
 
 剪定鋏


 研ぎ前

使い込まれた剪定鋏です。
受け皿としての刃が傷んで、捲れています。
切れ味自体もなくなっており、研ぎが必要な状態です。



 研ぎ後

ネジを取り外してから、裏側を研ぎ出して、捲れている部分をなくしました。
もう一度、正確な刃先を行う為に、表側を曲線状に研いでから、刃を付けて仕上げてあります。

研ぎ代 1200+200(捲れの修復)+200(捲れの修復)=1600円
 
 片手刈込鋏【葉刈鋏】


 研ぎ前

切れ味が落ちた為に研がれたようで、表側は丸みを帯びて、裏側は捲れるような形になっています。
刃物は単純そうに見えて、仕組みなどがありますので、それを知らなければ使えなくなってしまうことがあるので、注意が必要です。



 研ぎ後

表側と裏側の丸みを捲れを、もとの状態へ戻すように研ぎ直しました。
ありがたいことに、大変、喜んで下さりました。
研ぎの冥利に尽きることで、さらに満足して頂けるように、技術を磨こうと思います。

研ぎ代 1500+300(丸み・裏側の修復)+300(丸み・裏側の修復)=2100円
 
 さつき鋏


 研ぎ前

ご使用後、メンテナンスを行わずに扱われ続けたものです。
樹木のヤニや水分などによって、全体的にサビています。
実際に研ぎ出してみなければ、正確な判断は付きませんが、色味や手触りから、深いサビだと判断出来ます。



 研ぎ後

予想通り、深いサビでした。
表側の刃からサビは取り除けましたが、裏側の刃は限度がありますし、バランスが崩れる原因にもなりますので、ある程度で留めさせて貰いました。
サビによる名残が見られますが、ご使用にはほとんど問題はありません。

研ぎ代 1200
 
 キッチン鋏


 研ぎ前

使い込まれたキッチン鋏です。
様々な食材に対応する為、しっかりとした作りをしているものが多いですが、食材の中には蟹の殻など、硬い素材のものもあるので、写真のように傷んでしまうことがあります。
特に切れ味が落ちた状態で扱われると、ご無理をされる為、それが顕著に現れます。



 研ぎ後

ネジを外した後、傷んでいる部分を取り除いてから、刃付けを行いました。
素材がステンレス製の場合、特性上、きちんと刃を付けることが難しかったりします。

研ぎ代 1200円
 

 まとめ

鋏の研ぎの重要なところは、使用される鋏の仕組みを知ることです。
それぞれの用途によって、進化してきたものですので、
使い方を誤らなければ、本来の機能を発揮してくれます。
メンテナンスを怠らなければ、長期間、お使いして頂くことだって出来ます。
その補助と言っては、差し出がましいかも知れませんが、
当店では、専用の機材や道具、部品などを常備して、
それぞれの鋏に合った研ぎ方をして、用途別に扱えるようにさせて頂いております。

研ぎ・目立てのご依頼を希望される方は
受付をご覧になって下さい。

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