井上刃物 研ぎ専門店

井上刃物
 

 磨き

当店では、研ぎに出された刃物に磨きを掛けています。
傷んだ刃物の研ぎを行うと、どうしても刃物を傷付けることになり、
凹凸が出来ることによってその部分に汚れ水分が入り込み、
サビる原因になってしまいます。
表面に付いた傷や凹凸が細かくなればなるほど、
汚れや水分が付着し難くなるので、
磨きを行うことによってそれを回避します。
手入れを怠らない限り長時間、同じ状態が続きます。

 

 鏡面仕上げ

鏡面仕上げ鏡面研磨鏡面加工
それぞれ呼び名は変わりますが、
限りなく凹凸を少なくしたものは鏡のようになり、
対象物を反射させてその姿を映り込ませます。

包丁にはステンレス製や特殊合金という、鉄に特定の元素を混ぜた合わせたものがあり、
それらによってサビ難くなっていますが、
鉄や鉄を鍛えた鋼はそれらがなく、宿命として手入れを怠ればサビてしまいます。
サビを防ぐ方法として、
鉄の上に酸化しないように塗りものをしたり、
昔から引き継がれている、黒錆を施してそれ以上、サビささないというやり方がありますが、
表面の凹凸をなくすことにより、
汚れなどが付着し難くすることでも防ぐことが可能で、
それが鏡面仕上げになります。
それらは本焼きという鋼だけで作られた和包丁に施されていることが多く、
手間が掛かる為に高価なものとなっています。
鏡面仕上げを行っているお店などに頼んだりすると、
刃物を購入する以上の値段が掛かったりします。

 

 当店

当店の磨きは、
お客様に喜んで頂く為
に行っております。
目に見えないほどの微細な傷をなくした鏡面仕上げは、
研ぎ以上のお値段になりますし、時間などの諸事情で行っておりません。
また製品状の作りや深く傷の入ったものや、浸透したサビの跡までは直せませんが、
素材本来の状態に出来るだけ戻させて貰っており、
通常よりもサビ難くなっています

下記に載せている写真は、磨きだけを掛けたもので、研ぎは行っていません。
磨きという部分だけをご覧頂く為です。

 

 庖丁



 磨き前

全体的にサビ付いた、柳刃包丁です。
磨きを掛ける前の状態で、薄らとしたサビが回っていて、全体的に黒ずんでいます。
それと深いサビもあり、サビが浸透して窪みも生まれています。



 磨き後

砥石などを使って、磨きを掛けた後の状態です。
日差しの加減により、刃の部分が黒くなっていますが、全体的に銀色に戻ってます。
ただし、窪みや深い傷などは残っています。
磨きには限度があり、研ぎ出さない部分は、研磨の量が少ないからです。



 磨き後(室内)

光の加減によって見え方が変わるので、明るい部屋での状態です。
直接ライトは当てていなくて、天井の白色ライトだけのものです。
反射によって輝いています。



 反射

プチトマトの傍に包丁を近付けました。
鏡のように映り込ます程度には、磨きが掛かっています。

 

 



 剪定鋏

もう一つの例として、簡略化させて貰いましたが、包丁とは異なる刃物です。
湾曲している分、光の角度によって輝き方が違います。

 

 鏡面研磨

当店が考えている鏡面研磨は、
完全鏡面研磨とも呼ばれていたりしていて、
周りを反射させるだけでなく、目に見える傷が一つもない状態のものです。
研ぎ・目立てとはまた別のものですが、
研磨を行うという部分では同じになります故、
技術の研鑽ということで実際に行ってみました。
ただ、こちらは完全な鏡面研磨ではなく、八割ぐらいの仕上がりのものです。



 出刃包丁

刃渡り300mmのサイズのものです。
磨き出す面積が増えるほど、その分、時間が掛かります。
仕上げた後の状態で、部屋の天井や窓枠、窓などが映り込んでいます。
磨きの項目でご覧になって頂いている写真とは、映り方が違い、より鮮明に見えるようになっています。



 新聞

新聞の上に載せると、さらにはっきりとわかります。
包丁自体の形状によって変化しますが、輪郭がぼやけずにくっきりしています。
鏡のようになっておりますので、反対になっておりますが、鮮明な文字で読めるようになっています。



 風景

包丁に写り込んでいるものは、向いている方向にある風景で、遠くにある信号や車なども見ることが出来ます。
鏡を張り合わせたものや、塗料などを塗っている訳ではなく、傷を見えないくらい細かくしていくと、このような状態になります。

実際に行ってみると、磨き出す面積もありますが、
簡単に行えるものではありませんでした。
磨き上げる技術がまだまだ不足していて、経験を積む必要がありますし、
何より時間が掛かり過ぎる、ということが一番の問題でした。
いずれは短時間で、納得のいくものを仕上げられるように、
また試してみようと思います。

他のところでもお伝えさせて貰っておりますが、
当店では、鏡面研磨のご依頼はお受けさせて貰っておりませんので、
ご承知下さい。

 

 まとめ

全ての刃物に対して磨きを行っている訳ではありません。
また部分的に磨かない個所や、磨けない場所もありますし、
大きさや形状、材質などのよって、違いもあります。
磨きはあくまでご依頼下さったお客様へのサービスで行っていることですので、
ご了承下さい。

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